貸借対照表を読めると融資審査で差がつく

こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。

前回は損益計算書(PL)の5段階の利益について解説しました。
今回は財務諸表のもう一本柱である、貸借対照表(BS)の読み方をお伝えします。

「PLは少し意識するようになったけれど、BSはほとんど見たことがない」
という経営者の方は少なくありません。
しかし融資審査において、金融機関はPLと同じかそれ以上にBSを重視します。
BSが読めるようになると、自社の財務的な強さと弱さを客観的に把握できるようになります。

BSを見たことはあるけれど、何が書いてあるのかよくわからないという経営者のみなさん、ぜひ最後までじっくりお読みください!

 

・BSとPLは何が違うのか

PLが「映画」ならBSは「写真」

前回もお伝えしましたが、PLは「一定期間の経営の流れ」を示すものです。
1ヶ月や1年間という期間の中で、売上がいくらあり、費用がいくらかかり、最終的にいくら残ったかを見せてくれます。

一方、BSは「ある時点での会社の財産と借金の状態」を示すものです。
決算日や月末時点での「スナップショット」です。

PLが映画なら、BSは写真——この違いを頭に入れておくと、BSの読み方がぐっとわかりやすくなります。

BSの基本構造を3分で理解する

BSは左右に分かれた表です。

・左側(資産の部):会社が持っているもの(現金・売掛金・在庫・建物・設備など)

・右側(負債の部+純資産の部):その資産をどうやって調達したか(借金なのか、自己資金なのか)

左右の合計は必ず一致します。これがBalanceSheet(バランスシート)の名前の由来です。

 

・左側(資産)を読む

BSの左側には、会社が保有するすべての資産が記載されています。

流動資産と固定資産の違い

資産は大きく「流動資産」と「固定資産」に分かれます。

流動資産とは、1年以内に現金化できる資産のことです。
現金・預金・売掛金(まだ回収していない代金)・棚卸資産(在庫)などが含まれます。

固定資産とは、1年を超えて使い続ける資産のことです。
建物・機械設備・車両・土地などが含まれます。

資産の中身が「質」を決める

資産の合計金額が大きくても、それがすべて良い状態とは限りません。

たとえば売掛金の中に、何ヶ月も回収できていない「不良債権」が含まれている場合、見かけ上の資産は大きくても実質的な価値は低くなります。
在庫も同様です。売れない在庫が積み上がっていれば、資産の「質」が低いと判断されます。

金融機関の担当者はBSを見るとき、資産の金額だけでなく「その中身は本当に価値があるか」という視点でチェックしています。

 

・右側(負債・純資産)を読む

BSの右側には、左側の資産をどのように調達したかが示されています。

流動負債と固定負債の違い

負債も資産と同様に「流動負債」と「固定負債」に分かれます。

流動負債とは、1年以内に返済が必要な借金です。
買掛金・短期借入金・未払費用などが含まれます。

固定負債とは、返済まで1年以上かかる借金です。
長期借入金(銀行からの融資など)が代表的です。

純資産(自己資本)が会社の体力を示す

純資産とは「資産の合計から負債の合計を引いた残り」です。
自己資本とも呼ばれ、会社が自分自身で持っている財産の部分です。
純資産がプラスであれば健全な状態です。

一方、純資産がマイナスの状態を債務超過(さいむちょうか)と言います。
これは「借金が資産を上回っている状態」であり、融資審査では非常に厳しく見られます。

 

・融資審査で使われる3つの指標

BSを読む上で、特に融資審査に直結する3つの指標を押さえておいてください。

自己資本比率

自己資本比率は「純資産÷総資産×100」で計算します。
この数字が高いほど、外部からの借金に依存せず自己資金で経営できている状態を示します。

一般的に、20〜30%以上あれば財務的に安定していると見られます。
ただし業種によって適正水準は異なるため、同業他社との比較も重要です。

流動比率

流動比率は「流動資産÷流動負債×100」で計算します。
1年以内に現金化できる資産が、1年以内に返済すべき負債をどれだけカバーできるかを示す指標です。

100%を超えていれば「短期的な支払い能力がある」状態です。
一般的に120〜150%以上が望ましいとされています。
この数字が低い場合、資金ショートのリスクが高まります。

債務超過の有無

融資審査において、債務超過は最も大きなマイナス要因のひとつです。
純資産がマイナスの状態では、多くの金融機関で融資の審査が通りにくくなります。

創業間もない段階では赤字が続いて債務超過になるケースもありますが、その場合は事業計画や代表者の個人資産なども含めた総合的な判断がなされます。早めに専門家に相談することが重要です。

 

・まとめ

今回のポイントを振り返ります。

  • BSは「ある時点での会社の財産と借金の状態」を示す写真のようなもの
  • 資産の「量」だけでなく「質」が重要で、金融機関はその中身まで確認している
  • 自己資本比率・流動比率・債務超過の有無が融資審査の重要な判断指標になる

 

最後に、一緒に考えてみてください。

自社の直近の決算書または試算表でBSを開き、純資産(自己資本)の金額がプラスかマイナスかを確認してみてください。
もしマイナスであれば(債務超過の状態)、早めに専門家へのご相談をおすすめします。まず現状を把握することが、改善への第一歩です。

次回予告:7月シリーズ最終回は「銀行員・公庫担当者がPLとBSのどこを見ているか」です。
融資審査の視点から逆算して、経営者が押さえるべきポイントを実務的に解説します。

 

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