年末調整③|計算・提出・納付の完全整理

期限と手順を押さえれば年末調整は全く怖くありません。

こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。

年末調整シリーズも今回が最終回です。
第1回で準備、第2回で書類収集の実務をお伝えしてきました。
今回は、実際の計算・従業員への精算・税務署への提出・納付という年末調整の「仕上げ」の部分を完全に整理します。

  • 「計算の手順がよくわからない」
  • 「提出書類が多くて何から手をつければいいか」
  • 「納付期限を間違えて延滞税が発生した」

——こうしたトラブルは、手順を一度正確に把握してしまえば、毎年安心して対処できるようになります。

年末調整の計算・提出・納付をスムーズに終わらせたい経営者のみなさん、ぜひ最後までじっくりお読みください!

 

・年末調整の計算の流れ

年末調整の計算は、以下の順序で行います。
給与計算ソフトを使用している場合は自動計算されますが、仕組みを理解しておくことが重要です。

ステップ1:年間給与収入の集計

1月から12月までの給与・賞与の支給総額を従業員ごとに集計します。
途中入社の従業員は、前職の源泉徴収票を提出してもらい、前職分の収入・徴収税額も合算します。

前職の源泉徴収票を受け取っていない場合は、年末調整ができません。
必ず11月末までに提出を求めてください。

ステップ2:給与所得控除後の金額を算出

年間給与収入から「給与所得控除」を差し引きます。
給与所得控除とは、給与収入に対して一定額を経費として認める制度です。
金額は収入に応じた計算式で算出します。(給与計算ソフトまたは国税庁の算出表を使用)

ステップ3:所得控除の合計を算出

従業員が申告書に記載した各種控除を合計します。主な控除は以下の通りです。

  • 基礎控除基礎控除(全員適用。令和7年分から合計所得金額に応じて段階的に設定され、最大95万円。標準的な給与所得者は58万円が基本となります)
  • 配偶者控除・配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 生命保険料控除・地震保険料控除
  • 社会保険料控除(健康保険・厚生年金・国民年金等)
  • 小規模企業共済等掛金控除(iDeCo等)
  • 障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除

ステップ4:課税所得の算出と税額計算

「給与所得控除後の金額-所得控除合計=課税所得」を計算し、所得税の税率表(速算表)を使って税額を算出します。
算出した税額に復興特別所得税(2.1%)を加算した金額が、年間の正しい所得税額です。
※なお、2027年分以降は防衛特別所得税(仮称)の導入に伴い税率が変更される予定ですが、2026年分の年末調整では引き続き2.1%が適用されます。

ステップ5:源泉徴収税額との差額を精算

年間の正しい所得税額と、毎月の給与から天引きしてきた源泉徴収税額の合計を比較します。

  • 源泉徴収額 > 正しい税額:差額を従業員に還付(12月または1月の給与支給時に上乗せ)
  • 源泉徴収額 < 正しい税額:差額を従業員から徴収(12月または1月の給与から追加控除)

 

・年末調整後の提出書類と期限

年末調整が完了したら、以下の書類を期限内に提出します。

・源泉徴収票の交付(従業員へ)

交付期限:翌年1月31日まで

全従業員に源泉徴収票を交付します。
退職者には退職後1ヶ月以内の交付が必要です。

・法定調書の提出(税務署へ)

提出期限:翌年1月31日まで

給与所得の源泉徴収票(一定の要件に該当する従業員分)・退職所得の源泉徴収票・報酬等の支払調書などをまとめた「法定調書合計表」を税務署に提出します。
e-Taxでの電子提出が推奨されています。

・給与支払報告書の提出(市区町村へ)

提出期限:翌年1月31日まで

全従業員分の給与支払報告書を、従業員の居住する市区町村に提出します。
これは翌年の住民税の計算に使われます。
複数の市区町村に提出が必要な場合は、それぞれに送付します。

 

・源泉徴収税額の納付

年末調整後の源泉徴収税額(過不足精算後の金額)は、以下の期限までに納付します。

原則:翌月10日納付

毎月の給与から天引きした源泉徴収税額は、翌月10日までに所轄の税務署に納付します。
12月分の給与にかかる源泉徴収税額(年末調整の過不足精算後)は、翌年1月10日が納付期限です。

特例:年2回納付(納期の特例)

従業員が常時9人以下の会社は、「源泉所得税の納期の特例」を申請することで、年2回(1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日)にまとめて納付できます。

この特例を申請している会社は、年末調整分の納付期限が翌年1月20日になります。
原則の1月10日と混同しないよう注意が必要です。

納付は金融機関の窓口・ダイレクト納付(e-Tax)・コンビニ納付(QRコード)など複数の方法があります。

 

・年末調整でよくある計算ミスと注意点

  • 前職の源泉徴収票の合算漏れ
    年の途中入社の従業員の前職分を合算せずに計算すると、税額が大幅にズレます。
    入社時に源泉徴収票を提出してもらう習慣をつけることが根本的な対策です。
  • 控除証明書の金額の転記ミス
    保険料控除申告書への転記金額と、実際の控除証明書の金額が一致しているか必ず照合します。
    金額が異なる場合は従業員に確認します。
  • 住宅ローン控除の適用漏れ
    住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、2年目以降の従業員が年末調整で適用できる税額控除です。所得控除と異なり「税額から直接差し引く」控除のため、計算の最終ステップで適用します。見落としが起きやすい項目です。
  • 納付期限の特例との混同
    前述の通り、納期の特例を申請している会社は納付期限が異なります。
    毎年確認する習慣をつけてください。

 

・まとめ

年末調整③で押さえておきたいポイントを整理します。

  1. 年末調整の計算は「年間給与集計→控除合計→税額算出→源泉徴収との差額精算」の順で進める。
    給与計算ソフトを使う場合も、仕組みを理解した上で数字を確認することが重要。
  2. 源泉徴収票・法定調書・給与支払報告書はすべて翌年1月31日が提出期限。
    複数の提出先(税務署・市区町村)があることを忘れずに。
  3. 納付期限は「原則:翌月10日」「納期の特例:1月20日」のどちらが自社に適用されているかを必ず確認する。
    期限を1日でも過ぎると延滞税が発生する。

最後に、一緒に考えてみてください。

昨年の源泉徴収票と法定調書の提出期限を、今すぐ確認できますか?
「税理士に任せているから」という場合でも、経営者として提出期限と提出先の種類は把握しておくことをお勧めします。
何かあったときに経営者が全体像を把握していることが、トラブルを最小化する最初の一手です。

次回からは「バックオフィス革命」本編として、月次決算を経営判断にどう活かすかをテーマにお届けします。

 

名古屋起業スタートビジョンラボでは、創業したての方向けに、日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。
気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。

会社設立・起業のお悩みを
無料面談でお聞かせください

お電話でのお問い合わせ

0120-961-864受付時間 9:00〜18:00(平日)