年末調整①|10月から始める経営者の準備完全ガイド
従業員を抱える会社がまずやることについて解説します。
こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。
「年末調整って、12月にやるものじゃないの?」
そう思っている経営者のみなさん、実はその認識が毎年12月の修羅場を生んでいます。
年末調整は、準備を10月から始めるかどうかで、12月の作業量がまったく変わります。
従業員が1人でも2人でも、雇用している以上、会社には年末調整を行う義務があります。
「税理士に任せているから大丈夫」という経営者も、経営者自身が全体の流れを把握していなければ、書類の収集漏れや期限遅れが発生します。
今回から3回にわたって、年末調整の実務を経営者目線で整理します。
第1回は「10月から何を準備すべきか」です。
年末調整を自社でスムーズに乗り切りたい経営者のみなさん、ぜひ最後までじっくりお読みください!
・そもそも年末調整とは何か
年末調整とは、給与を支払う会社が、従業員一人ひとりの1年間の所得税を正確に計算し直し、毎月の源泉徴収(給与から天引きしていた所得税)との差額を精算する手続きです。
毎月の給与から天引きしている所得税は、あくまで「概算」です。
年間の収入・扶養家族の状況・支払った保険料などを加味した正確な税額は、年末にならないと確定しません。
その差額を調整するのが年末調整の役割です。
多くの場合、年末調整の結果として「還付(払いすぎた税金が戻る)」が生じます。
これが給与明細に「年末調整還付」として反映されるものです。
・年末調整が必要な従業員の範囲
年末調整の対象となるのは、原則として12月31日時点で在籍しているすべての給与所得者です。
ただし、以下のケースは対象外となります。
- 年間の給与収入が2,000万円を超える従業員
- 副業収入など他の所得が20万円を超える従業員(別途確定申告が必要)
- 年の途中で退職した従業員(退職時に源泉徴収票を交付)
パートタイム・アルバイトも、一定の要件を満たす場合は年末調整の対象になります。
「正社員だけが対象」という誤解には注意が必要です。
・10月にやるべき準備|3つのアクション
アクション①:従業員の在籍状況と扶養情報を整理する
年末調整の作業量は、従業員数と扶養情報の複雑さに比例します。
まず以下を確認します。
- 現在の在籍従業員数(正社員・パート・アルバイト含む)
- 年の途中で入退社した従業員の有無
- 扶養家族の変動(結婚・出産・扶養から外れた家族など)がないか
扶養情報の変動は、本人からの申告がなければ会社側では把握できません。
「変化があれば申し出てください」と10月中に従業員に周知することが最初のステップです。
アクション②:必要書類の種類と入手方法を確認する
年末調整で使用する主な書類は以下の通りです。
会社が準備するもの(税務署・市区町村から入手または電子交付)
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
これらの書類は税務署から送付される場合と、国税庁のウェブサイトからダウンロードできる場合があります。
電子申告(e-Tax)を導入している場合はシステム上で対応できます。
従業員が自分で用意するもの
- 生命保険・地震保険の控除証明書(10〜11月に各保険会社から郵送)
- 住宅ローン控除を受ける従業員は残高証明書・控除証明書
- 国民年金保険料の控除証明書(iDeCoの掛金証明書も含む)
保険会社からの控除証明書は10月以降に順次郵送されます。
従業員が紛失しやすい書類でもあるため、「届いたら大切に保管してください」と事前に伝えておくことが重要です。
アクション③:給与台帳・源泉徴収簿の整備状況を確認する
年末調整では、1月から12月までの給与支給額・源泉徴収額の合計を集計します。
給与台帳や源泉徴収簿が正確に記録されていることが前提です。
給与計算ソフトを使用している場合は、データの入力漏れ・修正履歴がないかを確認します。
手計算や簡易的な管理をしている場合は、今のうちに整理しておくことで12月の作業が大幅に楽になります。
・年末調整のスケジュール全体像
経営者として把握しておくべき年末調整の大まかなスケジュールは以下の通りです。
- 10月中:準備・書類の確認・従業員への周知
- 11月上旬〜中旬:従業員へ申告書を配布・記入依頼
- 11月下旬〜12月上旬:従業員から書類を回収・内容確認
- 12月の給与計算時:年末調整計算・過不足額の精算
- 翌年1月10日まで:源泉徴収税額の納付(特例あり)
- 翌年1月31日まで:法定調書・給与支払報告書の提出
・経営者自身の年末調整について
従業員を雇用している会社の経営者(法人の役員)も、給与を受け取っている場合は年末調整の対象です。
ただし、個人事業主の場合は年末調整ではなく、翌年2〜3月の確定申告で所得税を精算します。
自身の立場(法人役員か個人事業主か)によって対応が異なる点を確認しておきましょう。
・まとめ
今回の年末調整①で押さえておきたいポイントを整理します。
- 年末調整は12月ではなく10月から準備を始めることで、12月の作業量が大幅に減る。
在籍状況・扶養情報の整理と書類の確認を今月中に終わらせる。 - 従業員が準備する書類(保険料控除証明書等)は10月以降に届き始める。
紛失防止のため、事前に従業員への周知を行うことが重要。 - 給与台帳・源泉徴収簿の整備状況を今すぐ確認する。
記録の漏れや誤りがあれば、12月前に修正しておく。
最後に、一緒に考えてみてください。
自社の従業員数と、昨年の年末調整で手間取った箇所を今すぐ確認できますか?
「昨年バタバタした」という記憶があるなら、その原因は何だったかを振り返り、今年は同じ箇所で躓かない準備を今月中に整えてください。
次回は、従業員への説明と書類収集の実務を具体的にお伝えします。「何をいつまでに渡せばいいか」を整理しますので、ぜひあわせてご覧ください。
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