【連載Vol.8/実践編④】試算表から「異常値」と「資金ショート」を見抜くAIプロンプト術

こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。

先回のコラム(Vol.7)では、経理の実践編として「AIに仕訳ルールを教え込む方法」をお伝えしました。
経営者がルールを構築することで、リアルタイムに数字を把握できる「バックオフィス革命」が起きるというお話でしたね。

今回(Vol.8)は、5月から続いてきた「AI×融資・バックオフィス」連載の最終回、実践編の総仕上げとなります。

概念や心構えのお話は、準備編で散々お伝えしてきました。ですから今回は、一切の精神論を抜きにします。
「クラウド会計で出来上がった試算表の数字を、具体的にどうAI(ChatGPTなど)に分析させ、経営判断や資金繰りに活かせばいいのか?」

明日からすぐに使える具体的なプロンプト(指示文)の実例を公開します。
【AIを使って自社の数字を正しく読み解き、盤石なキャッシュフロー(資金繰り)を築きたい】なあなたは、ぜひ最後までじっくりお読みください!

 

・実践プロンプト①:人間の目が見落とす「異常値」を炙り出す

クラウド会計の自動仕訳で「月次推移表(毎月の成績表)」がパッと出せるようになったら、次はそのデータをCSV等で出力し、ChatGPTなどの文章生成AIに読み込ませます。

人間がエクセルの細かい数字を目で追うと、必ず「見落とし」が発生します。
「いつも通りだろう」という思い込みがあるからです。
これを排除し、冷徹に「異常値」を炙り出させるためのプロンプトがこちらです。

【異常値検知プロンプト】(コピペして使えます)

  • あなたは、冷静沈着で優秀な「財務コンサルタント」です。添付した当社の直近6ヶ月の月次推移表データを読み込み、以下の条件で分析を行ってください。

【指示内容】

  • 先月と比較して、金額ベースで「10%以上」変動している経費項目をすべてリストアップしてください。
  • その変動が引き起こす可能性のある「経営上のリスク」を、それぞれ1つずつ推測して提示してください。
  • 売上の増減ペースに対し、原価率や人件費率が悪化していないか、割合(%)を出して診断してください。

このプロンプトを打ち込むと、AIは一瞬で「社長、今月は売上が微増ですが、外注費が15%急増しており利益を圧迫しています。
外注先の単価見直しか、内製化の検討が必要です」といった、具体的なアラートを上げてくれます。

 

・実践プロンプト②:黒字倒産を防ぐ「資金繰り」のシミュレーション

異常値のチェックができたら、次は会社の命綱である「資金繰り(キャッシュフロー)」の防衛です。
帳簿上は黒字でも、手元の現金が尽きれば会社は倒産します。
数ヶ月先の現金の動きをAIにシミュレーションさせ、危機を先回りするためのプロンプトがこちらです。

【資金ショート予測プロンプト】(コピペして使えます)

  • あなたは、資金繰り管理の「プロフェッショナル」です。
  • 以下の現状データを元に、今後6ヶ月間のキャッシュフロー(現金の推移)をシミュレーションしてください。

【前提データ】

  • 現在の現金残高:〇〇万円
  • 月間の平均固定費(家賃、人件費、返済額など):〇〇万円
  • 月間の想定売上入金(保守的に見積もった額):〇〇万円
  • 〇月に予定している大型の支払い:〇〇万円

【指示内容】

  • 上記データをもとに、向こう6ヶ月間の月末現金残高の推移を表形式で出力してください。
  • 現金残高が「月間固定費の2ヶ月分」を下回る危険水域に入る月があれば、警告を出してください。
  • その危機を回避するための、具体的な資金繰り改善策(融資、支払い遅延交渉、経費削減など)のアイデアを3つ提示してください。

このプロンプトに自社のリアルな数字(〇〇万円の部分)を当てはめて実行するだけで、

例:「このままだと3ヶ月後の大型支払いで現金が危険水域に入ります。今のうちに日本政策金融公庫へ追加融資の相談に行くべきです」

という具体的な行動指針が導き出されます。

 

・AIの分析結果に対する「最終検品」と「決断」

いかがでしょうか。具体的なプロンプトを使えば、AIが途轍もなく便利な「参謀」になることがお分かりいただけたと思います。
しかし、実践編の最後にどうしてもお伝えしなければならないことがあります。
AIが出したこの分析結果は、「絶対に完成品として鵜呑みにしてはいけない」ということです。

  • AIが指摘した異常値に対し、「ああ、この外注費が増えたのは、来月の大型案件に向けた先行投資だから問題ないな」と、現場の空気や今後の戦略と照らし合わせて「人間の目で検品」すること。
  • そして、AIが提示した資金繰り改善策の中から、「よし、来週銀行へ融資の相談に行こう」「いや、役員報酬を削って耐えよう」と、リスクを背負って「決断」を下すこと。

AIが創り出した膨大な時間を使って、経営者がこの「決断」に向き合うことこそが、AI活用の本当のゴールなのです。

 

・まとめ

5月から2ヶ月間にわたり、全8回(+特別号)でお届けしてきた「AI×融資・バックオフィス」連載、いかがだったでしょうか。
後の実践編として、以下の重要ポイントをお伝えしました。

  • 具体的なプロンプトで、AIを「財務コンサルタント」として活用する。
  • 試算表から「異常値」と「資金ショートのリスク」をAIに炙り出させる。
  • 出た結果を鵜呑みにせず、現場を知る経営者が「最終検品」を行う。
  • AIの分析をもとに、経営者がリスクを背負って「決断」を下す。

AIは魔法の杖ではなく、優秀な新入社員です。
指示出し(プロンプト)のコツさえ掴めば、彼らは何百時間もの作業を肩代わりしてくれます。
しかし、その数字を読み解き、事業の方向性を定め、最後のハンコを押すのは、いつだって「人間」です。
便利さに溺れて思考停止するのではなく、AIという強力な相棒を従え、経営者としての圧倒的な「熱量」と「決断力」を磨き続けていきましょう!

 

・今回の宿題

「今月、AIが算出した試算表を本日のプロンプトで分析させたとき、あなたが一番『見落としていた(ハッとした)』異常値は何でしたか?」

「交際費が意外と膨らんでいた」「原価率がジワジワ上がっていた」
AIの冷徹な目は、あなたの無意識の甘さを正確に突いてきます。
その「ハッとした気づき」から逃げずに対策を打つこと。それが、あなたの会社を必ず成功へと導く第一歩です。

名古屋起業スタートビジョンラボでは、創業したての方向けに、日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。
気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。

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