【連載Vol.3/準備編②】自分でやった方が早いの壁!
税理士が語る「AI×融資」の泥臭い対話術
こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。
前回のコラム(Vol.2)では、日常の経理業務において「AIへの丸投げ」がいかに危険か、そして経営者による「ルール設定」の大切さをお伝えしました。
Vol.1から一貫して「AIへの過度な依存や思考停止はやめましょう」と警鐘を鳴らしてきましたが、今回はその準備編の総仕上げ(第2弾)となります。
AIへの丸投げをやめ、いざ自分でAIをコントロールしようと向き合ったとき、多くの経営者がぶつかる「ある壁」があります。
それが、「AIに指示を出すのに時間がかかりすぎて、結局自分でやった方が早い」という、タイムパフォーマンス(タイパ)の罠です。
今回は、事業計画の作成や融資の準備において、この「タイパの罠」をどう乗り越え、優秀なAIとどう向き合っていくべきかという、もう一段深いマインドセットのお話をします。
【AIを使ってサクッと事業計画を作りたいのに、思い通りの答えが返ってこずにモヤモヤしている】なあなたは、ぜひ最後までじっくりお読みください!
・「自分で書いた方が早い」の壁:タイパの罠
AIを使って事業計画書を作ろうとした経営者の多くが、最初の数日で強いフラストレーションを抱えます。
例1:「自社の強みを活かした事業計画を書いて」とAIに入力しても、返ってくるのはどこかで聞いたような薄っぺらい一般論ばかり。
例2:もっと具体的にして」と指示を追加しても、今度は的外れなアイデアを出してくる。
例3:何度やり取りしても自分の意図が伝わらず、結局「あーもう面倒くさい!こんなの自分でWordに打ち込んだ方が絶対に早い!」とPCを閉じてしまう……。
心当たりはないでしょうか?
これが、AI導入の初期に必ず訪れる「Jカーブの谷(最初は手作業より時間がかかり、効率が落ちる時期)」であり、私たちが陥りやすい「タイパの罠」です。
・「思考を止めない」ための試練
前回のコラムで、AIは「ポテンシャルは世界屈指だが、完全な指示待ちの新入社員」であるとお伝えしました。
現実の新入社員に対しても、最初の3ヶ月は手取り足取り教えるため、上司であるあなたの時間は奪われます。
「自分でやった方が早い」と仕事を奪ってしまえば、その新入社員は一生育ちません。
AIも全く同じです。
ここで「やっぱり手作業に戻そう」と諦めたり、逆に「まあ、AIが言うならこの程度の計画書でいいか」と妥協案で満足してしまったりすること。
それこそが、経営者としての「思考停止・責任放棄」の入り口なのです。
・噛み合わない泥臭い対話こそが「究極の準備」
では、なぜAIはあなたの期待通りの事業計画を出してくれないのでしょうか?
答えは非常に言いにくい事ですが、「ご自身の頭の中にある事業の解像度が低いから(言語化できていないから)」です。
AIは魔法の杖ではなく、経営者の思考をそのまま映し出す「鏡」です。
AIに対して「ターゲットは誰?」「なぜその価格設定なの?」という前提条件をうまく説明できないということは、銀行の融資担当者にも、そして未来の顧客にも、あなたのビジネスの魅力を論理的に説明できないということを意味しています。
・対話のストレスが「構成力」を研ぎ澄ます
- 「ちがう、ターゲットはもっとこういう層なんだ」
- 「その強みだと競合に勝てない。うちは〇〇だから選ばれるんだ」
AIと噛み合わないやり取りを繰り返し、イライラしながらも必死に言葉を尽くして指示(プロンプト)を修正していく。
実はこの「泥臭い対話の時間」こそが、経営者自身の事業への解像度を極限まで高める究極の準備になります。
「サクッと計画書を作る」というタイパの幻想を捨ててください。
AIと喧嘩するくらい徹底的に壁打ちを繰り返すことで、あなたの頭の中にあるぼんやりとしたアイデアは、初めて「言語化された強靭なビジネスモデル」へと昇華されるのです。
・銀行員は見抜いている。「誰の言葉」で語っているかを
この泥臭い対話を経て作られた事業計画書は、もはや「AIが作ったペラペラの書類」ではありません。
あなた自身の構成力と熱量が、AIという優秀な書記を通して出力された「あなた自身の言葉」になります。
そしてこの経験は、日本政策金融公庫や銀行などで行われる融資面談という場面で決定的な結果を生みます。
・厳しいツッコミに対する「根拠」の有無
融資担当者は、事業計画書の弱い部分を容赦なく突いてきます。
- 「この売上目標、本当に達成できるんですか?」
- 「競合他社が同じことをやってきたらどう防ぎますか?」
タイパを優先し、AIの薄っぺらい出力をそのまま持ってきた経営者は、ここで言葉に詰まります。
しかし、AIとの「噛み合わない対話」を繰り返し、自問自答を済ませている経営者は違います。
なぜなら、その厳しいツッコミは、すでにAIとの壁打ちの中で何度も乗り越えてきたプロセスだからです。
「そのリスクについては、これこれこういう理由で回避できると想定しています!!」
と、自分の言葉で、泥臭い根拠と熱量を持って即答できる。
金融機関がお金を貸したいと思うのは、間違いなく後者の経営者です。
・既に先を進んでいる先駆者の存在
ここで、日頃から多くの経営者とお会いしている私たちから、少しだけ「厳しい現実」をお伝えさせてください。
私たち起業スタートビジョンラボも、決してAIの先駆者などではありません。
日々進化する技術の波に必死に食らいつき、エラーに振り回されながらも泥臭く学んでいる「後発者」にすぎません。
しかし、世の中を見渡すと、とうの昔に「AIとの泥臭い対話」の時期をとうの昔に終わらせ、次のステップに進んでいる先駆者達が身近に存在します。
彼らはすでに、AIを単なる「文章作成ツール」としてではなく、高度な事業シミュレーションや、複雑な経営戦略のブレインストーミングを行う「右腕の参謀」として使いこなしています。
・「AIなんてまだよく分からないし、自分でやった方が早いから」
そう言って私たちが立ち止まっている間にも、彼らとの差は1歩、2歩と確実に開いていっています。
私たち自身も、この現実を前に「今のままで立ち止まっていては本当にマズい」という強烈な焦りと危機感を持っています。
だからこそ、皆様にもお伝えしたいのです。
「AIを使って楽をする」ためではなく、「時代のスピードから振り落とされない」ために、「AIと向き合う覚悟を持たなければいけない」という事を自覚する必要があることを。
・まとめ
準備編の第2弾として、AIとの向き合い方(マインドセット)についてお話ししました。
- 「自分でやった方が早い」は思考停止の入り口。
- タイパの罠に騙されてはいけない。
- AIとの泥臭い対話が、経営の解像度を上げる。
- 噛み合わない時間こそが「究極の準備」である。
- すでに先を走る経営者はあなたの身近にいる。
- 後発者だからこそ、今すぐに向き合う覚悟が必要。
優秀な道具を手にしたからといって、人間の泥臭い努力が不要になるわけではありません。
むしろ、人間としての「熱量」や「構成力」がこれまで以上に問われる時代になったということです。
私たちと一緒に、焦りを感じながらも、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
・今回の宿題
「あなたは、AIの出力が期待外れだったとき、『AIが使えない』と道具のせいにしていませんか?」
思い通りの答えが返ってこなかったとき、それは「自分の前提条件の伝え方が悪かったのではないか?」と自問自答してみてください。
自分の指示(言葉)のどこが足りなかったのかを振り返ることが、AIを最強の相棒に育てる第一歩になります。
名古屋起業スタートビジョンラボでは、創業したての方向けに、日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、日常のバックオフィスは勿論、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。
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