銀行評価の要となる指標。診断結果の「債務償還年数」とは?

こんにちは、起業スタートビジョンラボです。

前回ご紹介した「金融格付け診断ツール」、もうお試しいただけましたでしょうか?

緑色(正常先)だった!と安心された方も、「オレンジ色(要注意)が出てしまった……」と焦りを感じた方もいらっしゃるかと思います。

診断結果の画面に、色の判定と一緒に「債務償還年数(さいむしょうかんねんすう):◯◯年」という数字が表示されていたことにお気づきでしょうか。

銀行は決算書の隅々までチェックし、総合的に企業を評価しますが、その中でも特に企業の「安全性」を判断する上で極めて重要な意味を持つのがこの数字です。

第6回目は、銀行格付けのカギを握る、この「債務償還年数」について解説します。

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■ 「借金を返すのに何年かかるか?」

「債務償還年数」と聞くと難しそうですが、意味は非常にシンプルです。

「今ある借金を今の稼ぐ力で返済するとしたら、何年かかりますか?」 という指標です。

計算式も、基本的にはこれだけです。

  • 借入金の総額 ÷ 1年間の返済原資(利益+減価償却費) = ◯◯年

例えば、借入金が1億円ある会社が、年間で1,000万円のキャッシュ(返済原資)を生み出しているとします。

  • 1億円 ÷ 1,000万円 = 10年 

つまり、「この会社は、今のペースなら10年ですべての借金を完済できる能力がある」と判断されます。

 

■ 銀行の正常先区分の目安は「10年以内」

では、この年数は何年くらいが良いのでしょうか? 一つの目安として、以下のような基準が意識されています。

  • 10年以内:健全な水準(正常先区分)「現実的な期間内で返済可能だ」と判断され、比較的スムーズに融資審査が進みやすいです。
  • 10年超〜20年以内:注意が必要な水準(要注意先区分):「完済までの期間が長引いている」とみなされ、追加融資の審査が慎重になったり、金利条件等の見直しが入ったりする可能性があります。
  • 20年超〜:懸念される水準(破綻懸念先区分):「返済能力に対して借入が過大」と判断され新規借入れはほぼ不可能となります。
    主に条件変更や返済履行について金融機関と検討したり対策を取ることが多くなるでしょう。

(※あくまで一般的な目安であり、業種や担保状況、銀行との取引振りによって総合的に判断されます)

破綻懸念先以降は実質破綻先(通称「じっぱ」)やその先は破綻先と区分されますが、ここまで行くと新規融資はおろか、既存債務の返済履行も不可能な状況になっているため、今回は割愛させていただきますね。

 

■ 利益を減らすと「年数」が伸びてしまう

ここで、第3回のコラムでお話しした「節税」の話に戻ります。

もし、借入金がそのままで、節税によって利益(返済原資)を半分にしてしまったらどうなるでしょうか?

先ほどの例(借金1億円)で見てみましょう。

  • 節税前:返済原資1,000万円 → 10年(正常先判定)
  • 節税後:返済原資500万円 → 1億円 ÷ 500万 = 20年(要注意判定)

借金の額は変わっていないのに、利益を減らしただけで計算上の返済期間が倍に伸びてしまい、銀行からの評価ランクが下がってしまう可能性があります。

これが、「債務償還年数が悪化する」現象の怖いところです。

 

■ 「分子」を減らすか、「分母」を増やすか

この償還年数を良くする(短くする)方法は2つしかありません。

  • 分子(借入金)を減らす:手元の現金で借金を繰り上げ返済する。
  • 分母(利益)を増やす:過度な節税を控え、しっかりと利益を計上する。

もちろん、銀行はこの数字以外にも、手元の現預金残高や自己資本比率など、あらゆる数字を複合的に見ています。

しかし、この償還年数が大きく崩れていると、他の数字が良くても評価を厳しくせざるを得ないほど、インパクトの大きい指標であることは間違いありません。

診断ツールで「年数が長すぎる(色が悪い)」と出た場合は、借金が多すぎるのか、それとも利益が少なすぎるのか。

今一度決算書を見て、自社の財務バランスを見直す良いきっかけになるかと思います。

 

■ 次回予告:決算着地の微調整テクニック

「理屈は分かった。じゃあ今のウチの状況で、あといくらまでなら経費を使っても『安全圏』に収まるの?」

それが分かれば、安心して決算を迎えられますよね。

次回は、診断ツールを使った「ギリギリのラインを見極めるシミュレーション術」をご紹介します。

「経費は使いたい、でも格付けは守りたい」という社長様、必見です。

引き続き、新規融資や既存融資でお困りごとがございましたら起業スタートビジョンラボにご相談ください。

では、次のコラムでお会いしましょう。

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