節税で会社が弱くなる? 金融機関の懸念とは?
こんにちは、起業スタートビジョンラボです。
前回は、格付けが下がると金利上昇や融資制限といったデメリットがあることをお話ししました。
では、どのような決算対策がそのリスクを高めてしまうのでしょうか。
3月の決算期、「利益が出たから税金を払いたくない」と考えるのは経営者として自然な心理です。
もちろん、法に則った適切な節税を行うこと自体は、決して悪いことではありません。
しかし、その「手段」を間違えると、税金は減らせても、それ以上に大切な「企業の基礎体力」を奪ってしまうことがあります。
金融機関が最も懸念するのは、利益が減ることそのものよりも、節税の結果として「手元の現預金が流出してしまうこと」なのです。
第3回目は、キャッシュ(現金)の視点から、節税と信用リスクの関係について解説します。
■ 「経費を使う」ことは「現金を減らす」こと
多くの節税対策は、経費を計上することで利益を圧縮します。
例えば、決算賞与を出したり、消耗品を大量購入したり、保険に加入したり。
これらはすべて、会社から「現金が出ていく(キャッシュアウト)」行為です。
仮に、100万円の経費を使って、約30万円(法人税実効税率約30%として)の税金を減らせたとします。
税金は確かに減りましたが、手元からは100万円の現金が出ていっています。
つまり、何もしないで税金を払った場合に比べて、手元のキャッシュは確実に減っているのです。
■ 銀行が見ているのは「有事の対応力」
金融機関が融資先を評価する際、非常に重視するのが「手元流動性(現預金の厚み)」です。
企業経営には、予期せぬトラブルがつきものです。
売上の急減、取引先の入金遅れ、設備の故障……。「何かあった時」に会社を守れるのは、利益の額ではなく、今すぐ動かせる「手元の現預金」だけです。
もし、過度な節税対策で現金を使い込んでしまい、決算書の「現預金」が薄くなってしまっていたら、銀行の担当者はその決算書を見てどう感じるでしょうか。
- 「突発的な資金需要や返済に対応できるだけの体力が、少し乏しいのではないか?」
- 「もし景気が変動した際、資金ショート対策はどうなっているのか?」
そのような「懸念」や「疑問」が、銀行内部での審査において「信用リスク」として積み重なっていくのです。
その結果、格付け(ランク)の判定においてマイナス要因となり、皮肉なことに、会社を守るために行った節税が、逆に会社の安全性を脅かす評価へと繋がってしまう可能性があります。
■ 最高の防御策は「キャッシュを持つこと」
もちろん、将来の投資につながる有益な支出であれば問題ありません。
しかし、「税金を払いたくないから」という理由だけで不要なモノにお金を変え、手元の流動性を下げてしまうのは、財務戦略としては慎重になるべきです。
「税金を払ってでも現金を残し、B/S(貸借対照表)を厚くする」
これは一見、損をしているように見えるかもしれませんが、金融機関からの信用を高め、いざという時に数千万円単位の融資を引ける体制を作っておくことこそが、最強のリスクヘッジになります。
■ 次回予告:高級車を買って失敗した事例
「キャッシュが大事なのは分かった。でも、資産価値のある車なら、現金が形を変えただけだから大丈夫では?」
そう思われる方も多いのですが、実は決算直前の「駆け込み購入」には、もう一つの落とし穴があります。
次回は、良かれと思って高級車を購入し、銀行評価を落としてしまった「具体的な失敗事例」をご紹介します。
「うちの会社、現金のバランスは大丈夫かな?」と不安な方は、いつでも名古屋起業スタートビジョンラボにご相談ください。

