融資審査における自己資金の考え方について


 

自己資金の計画的な形成方法を解説

 

こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。

創業融資を検討中のあなたにとって、自己資金は常に不安と疑問の中心にあるワードではないでしょうか。

「どれくらい必要なのか」「タンス預金は認められるのか」など、その疑問は尽きません。

 

なぜ、金融機関は自己資金をこれほどまでに重要視するのでしょうか?

それは、自己資金が「経営者としての計画性・準備の証」と見なされるからです。

単に金額を貯めれば良いというわけではなく、その形成過程こそが厳しく審査されます。

 

今回は、融資審査側の視点から、自己資金の正しい考え方審査担当者の着眼点、そして説得力のある自己資金の形成方法について、徹底的に解説します。

自己資金に対する不安を解消し、融資成功へ一歩踏み出しましょう。

 


 

融資審査で自己資金が重要視される理由

 

最初になぜ、融資審査において自己資金がこれほどまでに重要視されるのでしょうか?という点に注目したいと思います。

それは、自己資金が単なる「お金の量」以上の意味を持つからです。

審査側は、自己資金を通じて以下の2つの点を評価しています。

 

1. 事業に対する本気度(コミットメント)

事業を始めるために、長期間にわたって貯蓄を続けてきたという事実は、その事業に対するあなたの本気度や熱意を証明します。

例えば、公庫の担当者は、事業主が日々の生活の中で節約し、コツコツと資金を積み立ててきた過程を評価します。

これは、単に「お金を借りたい」というだけでなく、「この事業を絶対に成功させる」という強い意志の表れと捉えられるのです。

逆に、自己資金がほとんどない、あるいは直前に急ごしらえで用意したような場合は、「本当にこの事業に覚悟を持っているのか?と疑問を持たれてしまいます。

 

2. 返済能力とリスク管理能力

自己資金の額は、事業開始後の資金繰りにおける緩衝材としての役割を果たします。

特に創業期は、計画通りに売上が上がらない可能性も考慮しなければなりません。

そのような時、自己資金が潤沢にあれば、一時的な赤字を補填し、事業を継続する力が生まれます。

 

審査担当者は、自己資金の金額から、あなたがどの程度のリスクを負う覚悟があるか、そして資金ショートを起こさずに事業を継続できるかを判断します。

自己資金が多いほど、リスクに対する備えがあると見なされ、融資の成功率が高まる傾向にあります。

一般的に、必要な総事業資金の1割から3割を目安に自己資金を用意することが推奨されています。

 


 

審査側が「自己資金」の何を見ているのか

 

では、融資担当者は具体的にどのような観点で自己資金を評価しているのでしょうか?

ただ通帳の残高を確認しているだけではありません。

彼らは、提出された通帳の履歴から、以下のような点を厳しくチェックしています。

 

1. 資金の出所が明確か

自己資金として認められるのは、返済義務のない、あなた自身のお金です。

そのため、その資金がどのように形成されたか、出所が明確である必要があります。

例えば、給与からの貯蓄、退職金、相続、保険の解約返戻金などは、出所が明確なため自己資金として認められます。

一方で、親や友人からの一時的な借入金(いわゆる「見せ金」)は、返済義務があるため自己資金とは見なされません

 

2. 計画的に積み立てられてきた履歴があるか

審査では通帳の直近半年から1年程度の入出金履歴を確認します。

この履歴から、事業に向けて毎月コツコツと貯蓄を続けてきた形跡があるかどうかチェックします。

例えば、毎月一定額が給与から別口座に移されている、あるいは貯蓄専用の口座に定期的に入金されているといった履歴は、計画性があると評価されます。

逆に、融資申し込みの直前に、突然大金が振り込まれているような不自然な動きは、「見せ金」と判断されるリスクが高まります。

 

 

タンス預金が認めらたケースの実例

今までの経験の中で、融資審査におけるタンス預金が自己資金と認められたケースは非常に稀ですが、実在します。

認められたケースの条件

認められた事例では、以下の複数の明確な証拠が求められました。

  1. 起業希望者の通帳から毎月一定額を払い出していた記録

  2. 払い出し後の現金を別途保管していた明確な記録(この記録自体が非常に稀ですが)。

  3. 後日、融資申請の際に払い出し累計額とほぼ一致する現金を口座に入金した履歴

これらの記録と入金が一致することで、初めて「通帳から引き出した現金を単に自宅で保管していた」という主張が受け入れられました。

 

 

審査側がタンス預金を厳しく見る理由

審査側は、借り手の正直な申告を信頼しつつも、「本当に自宅で保管していたのか」という事実を100%立証する手段がないため、非常に警戒します

・懸念される不正行為のリスク

審査側が穿った見方をする背景には、以下のような悪質な不正行為の可能性があるからです。

  • 不正の具体例: 毎月一定額の出金履歴(例えば5年間で合計300万円)を証拠として示しつつ、実際にはその同額(300万円)を親族や知人から一時的に借り入れて口座に入金する。

  • 目的: 融資が実行された後、運転資金などの名目で借り入れた資金を出金し、一時的に貸してくれた親族などに返済する。

このような「見せ金」行為が容易にできてしまうため、清廉潔白であったとしても、「こういう可能性があるのではないか」という視点で厳しくチェックされます。

 

 

虚偽申告と法的なリスク

融資審査において、全くの虚偽記載や錯誤行為(審査側を騙して事実と異なる認識をさせること)を行った場合、最悪のケースでは詐欺罪に問われる可能性があります。

過去には自己資金を「多く見せて融資を通しやすくしたい」という気持ちで見せ金を自己資金と申告されていた事案がありましたが、事実と異なる申告は重大なリスクを伴います。

最も確実で安全な方法は、長期間にわたる金融機関口座の着実な貯蓄履歴を提出することです。

 

 

結論:自己資金の最確実な証明方法は「金融機関口座の履歴」

起業時の融資審査において、自己資金と認められる最も確実な方法は、「金融機関の口座に毎月コツコツと積み立ててきた履歴」を示すことです。

 


 

自己資金を計画的に形成していくための具体的な手法と手段

 

融資審査を有利に進めるためには、計画的で質の高い自己資金を形成することが不可欠です。

以下に、複数の具体的な手法と手段をご紹介します。

 

1. 事業用口座の開設と活用

これは最も基本的かつ重要な手法です。

普段使いの口座とは別に、事業の開業資金を貯める専用の口座を開設しましょう。

そして、毎月給料が入るたびに、一定額をその口座に振り替えるように設定してください。

この習慣を継続することで、通帳の履歴に「計画的に貯蓄してきた」という明確な証拠を残すことができます。

また、事業用の経費をこの口座から支払うようにすれば、事業の資金の流れが分かりやすくなり、融資担当者への説明もスムーズになります。

 

2. 支出の見直しと節約

毎月の家計を見直し、無駄な支出を削減することも有効な手段です。

例えば、以下のような項目をチェックしてみましょう。

  • 固定費: スマートフォンの料金プラン、不要なサブスクリプションサービス、保険料など

  • 変動費: 食費、交際費、趣味の費用など

これらの支出を抑えることで、自己資金として回せる金額を増やせます。

地道な節約の積み重ねが、審査担当者から「堅実な経営者」として評価されることにつながります。

 

3. 副業や資産の活用

本業の収入だけでなく、副業で得た収入も自己資金として積み立てることができます。

例えば、クラウドソーシングなどを利用してスキルを活かした副業を行う、あるいは、保有している資産(例:株式や投資信託)を解約して自己資金に充てることも一つの手段です。

ただし、資産を売却した際は、その取引履歴や証明書類をしっかりと保管しておく必要があります。

 

4. 退職金や退職準備金の活用

退職して事業を始める場合、退職金は有力な自己資金となります。

退職金の額は自己資金としてカウントされますので、会社からの退職金明細書など、証明できる書類を必ず保管しておきましょう。

また、退職を検討する段階で、会社が用意している退職金制度や確定拠出年金などの制度を事前に確認しておくことも重要です。

 


 

まとめ

 

融資審査における自己資金は、単なる金額ではなく、事業主の本気度や計画性、返済能力を測るための重要な指標です。

審査担当者は、通帳の履歴から資金の出所や蓄積過程を厳しくチェックしています。

 

融資成功のために、まずは事業用口座を開設し、毎月の給与からコツコツと貯蓄を始める習慣をつけましょう。

そして、支出の見直しや副業の活用など、複数の手段を組み合わせて計画的に自己資金を形成していくことが大切です。

これらの準備を徹底することで、あなたは自信をもって融資審査に臨むことができるでしょう。

 

もし、自己資金のことで不安を感じている、どのように準備を進めれば良いか分からないという方は、ぜひ一度ご相談ください。私たち専門家が、あなたの事業の成功をサポートします。

 

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