銀行はココを見る!融資に強い決算書の読み方【Vol.4】
「借金」は悪じゃない!銀行が安心する「自己資本」と「有言実行の姿勢」
こんにちは!起業スタートビジョンラボです。
前回まで、BS(貸借対照表)の左側、「資産の部(現金、在庫、機械など)」についてお話ししてきました。
第4回のテーマは、BSの右側にある「負債の部」と「純資産の部」です。
BSの右側は、簡単に言えば「その資産を買うためのお金を、どうやって調達してきたか?」を表しています。
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負債: 人から借りたお金(銀行借入、買掛金など)= いつか返さないといけない
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純資産: 自分のお金(資本金、過去の利益)= 返さなくていい
銀行員は、このバランスを見て、その会社の「安全性」を測っています。
今回は、融資審査で最大の壁となる「債務超過(さいむちょうか)」の現実と、そこから銀行の信頼を得るために「経営者が示すべき姿勢」について解説します。
1. 「借金」があること自体は悪いことではない
まず誤解を解いておきたいのが、「無借金経営=最高」とは限らないということです。
もちろん借金がないのは素晴らしいことですが、事業を拡大するスピードを上げるために、銀行からの融資(レバレッジ)は有効な手段です。
銀行員が見ているのは、借金の「金額」そのものよりも、「中身とバランス」です。
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短期借入金: 1年以内に返すお金。
これが多すぎると「資金繰りが忙しい会社」と見られます。
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長期借入金: 1年以上かけてゆっくり返すお金。
設備投資など、時間をかけて利益を生むために借りるなら、プラスの評価になることもあります。
「何のために借りて、どう返していくか」が明確であれば、借金は怖がるものではありません。
2. 「少し様子を見ましょう」の本当の意味
ここで、多くの経営者様が直面する「債務超過(さいむちょうか)」について、現場のリアルな実情をお伝えします。
簿記に詳しくない方のために、まずは「債務超過とはどんな状態か?」を簡単にイメージしてみましょう。
・【債務超過のイメージ】
会社にある「資産(現金、在庫、機械など)」をすべて売り払ってお金に換えたとしても、「負債(借金など)」が返しきれずに借金が残ってしまう状態。
ご自身の決算書のBS(貸借対照表)の右下を見てみてください。
ここにある「純資産の部」の合計がマイナス(△マーク)になっていれば、それが債務超過です。
これは、過去の赤字の積み重ねによって、元手である「資本金」をすべて使い果たしてしまったことを意味します。
この状態で融資を申し込むと、銀行の担当者は柔らかな口調でこう言います。
- 「もう少し、数字(試算表)の推移を見させていただけますか?」
- 「今回は少し、様子を見ましょうか」
一見、検討してくれているように聞こえますが、銀行実務においてこのセリフが出た場合、その裏にある意図を正しく読み取る必要があります。
【銀行員のホンネ翻訳】
- 「様子を見ましょう」 → 「現状の決算内容のままでは、審査を通すことは難しいです」 もしくは「この計画が本当に実現できるのか、もう少し“証拠”が欲しいです」
銀行員は、決して意地悪で断っているわけではありません。
「応援したいけれど、今の数字だけでは、貸したお金が返ってくるという確証が持てない」と迷っている状態なのです。
3. 「懐疑」を「確信」に変えるのは、計画書ではなく“行動”
では、「様子を見ましょう」と言われた後、どうすれば銀行を納得させられるのでしょうか?
ここで大切なのは、「綺麗な計画書を作ること」だけがゴールではないということです。
極端な話、紙の上の数字を良く見せるだけなら、鉛筆をなめて調整すれば誰にでもできてしまいます。
銀行員もプロですから、それが「絵に描いた餅」なのかどうかは直感で分かります。
彼らが抱いている「本当にこの計画通りいくのかな?」という懐疑(疑問)を晴らすには、以下の2つが必要です。
① 「根拠」のある改善計画
「1年後に黒字化、3年後に債務超過解消」といった目標に対し、「いつ、誰に、何を売って達成するのか」という具体的なアクションプラン(実抜計画)を提示すること。
② 徹底した「有言実行」の積み重ね
ここが一番重要です。 計画を出した翌月から、「計画に対して、実際の実績はどうだったか?」を毎月シビアに報告しに行くのです。
- 「今月は計画通り達成しました」
- 「少し未達でしたが、原因は〇〇なので来月はこう修正します」
この「言ったことを実行する姿勢(有言実行)」を数ヶ月、あるいは年単位で示し続けて初めて、銀行員の中にあった「疑問」が「信頼」へと変わります。
債務超過から融資につなげるには、「計画の実現可能性を、経営者自身の行動で証明していく作業」が必要だと理解する必要があります。
4. 目指せ!自己資本比率の「黄金ライン」
このプロセスを経て財務が改善すれば、銀行からの評価は劇的に変わります。
その指標となるのが「自己資本比率(じこしほんひりつ)」です。
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自己資本比率 = 純資産 ÷ 資産の総額 × 100
【銀行評価の目安】
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マイナス(債務超過): 「様子を見ましょう」と言われる段階。有言実行の実績積み上げが必要。
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10%未満: まだ財務基盤が弱い。内部留保を最優先に。
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10%〜20%: 一般的な中小企業の平均ライン。
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30%以上: 「優良企業」の入り口!銀行からの信頼が厚くなり、有利な条件で借りやすくなります。
王道はやはり、「本業で利益を出して、内部留保(純資産)を積み上げること」です。
一足飛びにはいきませんが、毎年の決算で少しずつ積み重ねていく姿勢こそが、最強の銀行対策になります。
まとめ
第4回のポイントをまとめます。
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借金は悪ではないが、「資金使途とバランス」が大切。
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「様子を見ましょう」は「計画の実現性に疑問がある」のサイン。
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綺麗な計画書だけでなく、それを裏付ける「行動と実績」が銀行を動かす。
もし今、決算書が傷んでいたとしても、諦める必要はありません。
銀行員は、過去の数字だけでなく、「自ら掲げた計画を、責任を持ってやり遂げる経営者かどうか」を見ています。
次回、Vol.5では、中小企業特有の「ちょっと注意が必要な勘定科目」について切り込みます。
「会社のお金を社長が使うとマズい?」「役員貸付金が融資を止める理由」 など、知らずにやっていると怖いNG経理について解説します。お楽しみに!
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