金利も融資枠もここで決まる。格付けが招くデメリット

こんにちは、起業スタートビジョンラボです。

前回は、決算書が銀行にとっての「履歴書」であり、企業の返済能力に応じて「格付け(ランク)」が決まるというお話をさせていただきました。

  • 「ランクがあるのは分かったけれど、それが実際の経営にどう影響するの?」
  • 「融資さえ受けられれば、ランクなんて関係ないのでは?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、この「格付け」の違いは、単なる銀行内部の事務手続き上の話ではありません。

皆様が毎月支払う利息の額や、いざという時の資金調達のスピードに直結する、極めて実務的な問題です。

第2回目は、この格付けが下がってしまった場合(あるいは上がった場合)、経営にどのような影響が出るのか、具体的に解説していきます。

 

■ 銀行は「リスク」を価格に転嫁する

まず前提として、銀行も営利企業です。

預金者から預かったお金を企業に貸し出し、その利息で収益を得ています。

そのため、「貸したお金が返ってこないリスク」が高い企業に対しては、万が一の貸し倒れに備えて、保険料のように金利を高く設定する必要があります。

逆に、リスクが低い(=格付けが高い)企業には、薄利でも安全に貸せるため、低い金利を提示できます。

つまり、格付けのランクは、そのまま「お金の仕入れ値(コスト)」に跳ね返ってくるのです。

もし、決算書のバランスが悪化し、格付けがワンランク下がってしまった場合、主に以下の3つのデメリットが発生します。

1. 金利が上昇し、利益を圧迫する

最も分かりやすい影響が「金利」です。

例えば、「正常先」であれば1%台で借りられていたものが、「要注意先」になった途端に2%台、3%台へと上昇するケースがあります。

「たかが1%の差」と思われるでしょうか? 仮に1億円の借入がある場合、金利が1%上がるだけで年間100万円のコスト増です。

これは売上ではなく「利益」からそのまま引かれる100万円ですので、経営へのインパクトは決して小さくありません。

逆に言えば、格付けを良くすることは、何もせずに利益を増やすコスト削減策にもなるのです。

2. 「いざ」という時の融資が降りにくくなる

ビジネスには、スピード勝負の場面があります。

「急に良い物件が出たので確保したい」 「大口の注文が入ったので、仕入れ資金が急ぎで必要だ」

こうした時、格付けが高い「正常先」であれば、銀行内の審査もスムーズに進み、スピーディーに融資が実行されます(プロパー融資など、使い勝手の良い資金も引き出しやすくなります)。

しかし、ランクが低いと審査は慎重になります。

「追加の資料を出してください」 「本部決裁が必要なので時間がかかります」 そうこうしているうちにビジネスチャンスを逃してしまう……といった機会損失のリスクが高まります。

3. 担保や保証人を求められる

格付けが下がると、銀行は「信用」だけでは貸せなくなります。

その不足分を補うために、「不動産を担保に入れてください」や「社長以外の第三者保証人を付けてください」といった条件が付くことがあります。

さらにランクが悪化すると、新規の融資がストップし、「これからは返すだけにしてください(一本化返済)」と求められる事態にもなりかねません。

 

■ 格付け維持は、最強の「攻撃」準備

こうして見ると、「格付けを維持すること」の重要性がお分かりいただけるかと思います。

それは単に「銀行に嫌われないため」という守りの姿勢だけではありません。

  1. 低い金利でコストを抑える
  2. 必要な時にすぐ資金を引ける体制を作る
  3. 無駄な担保を差し出さずに経営の自由度を保つ

これらはすべて、将来の事業拡大に向けた「攻めの準備」そのものです。

決算書を良くすることは、最強の資金調達カードを手に入れることと同義なのです。

 

■ 次回予告:その「節税」が格付けを下げる?

「格付けが大事なのは分かった。でも、税金も払いたくない」 ここで多くの経営者様が直面するのが、「節税」と「格付け」のジレンマです。

良かれと思って行った節税対策が、実は銀行からの評価をガクンと下げてしまう「地雷」になっていることがあります。

次回は、3月の決算直前に陥りがちな「節税の落とし穴」について、具体的な事例を交えてお話しします。

「今期は利益が出たから、何か経費を使おうかな」と考えている社長様は、ぜひ次回もご覧ください。

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