融資申込金額の決め方について


 

こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。

「創業融資って、いくら申し込めばいいんだろう?」

「たくさん借りた方が安心なのかな?」

名古屋で起業を目指しているあなたは、資金調達に関してこのような疑問や不安を抱えていませんか?
特に、融資申込金額は、創業融資の審査を左右する非常に重要な要素です。

金額の設定を間違えると、せっかくの事業計画も台無しになってしまう可能性があります。

この記事では、創業融資の専門家である税理士が、融資申込金額の適切な設定方法と、多くの人が陥りがちな失敗例について、具体的な事例を交えながら解説します。
この記事を最後まで読めば、あなたの事業に必要な金額を自信を持って設定できるようになります。

名古屋での資金調達に悩んでいるあなたは、ぜひ最後までじっくりとお読みください!


 

前回コラムのおさらい

融資申込金額の設定で失敗しないための注意点

 

・「とりあえず多めに借りておこう」はNG

「資金は多い方が安心だから」と、必要以上に多額の融資を申し込むのは避けるべきです。

融資申込金額に明確な根拠がないと、審査担当者は「計画性がない」と判断します。
また、借り入れた金額すべてに利息がかかるため、返済負担が重くなるデメリットもあります。

よくいただくご相談に「1回で借入できるだけ借入したい」「私が借りられる上限はいくらですか?」というものがあります。
このような質問をされる方の多くは、ご自身が本当に必要な金額を正確に把握していないケースがほとんどです。

この状態のままでは、事業計画の信憑性を疑われ、審査に通るのは難しいでしょう。

 


 

例:合同会社S社(飲食店開業)の場合

 

飲食店の開業を目指していた合同会社S社の代表者様は、創業融資の相談に来られた当初、「自己資金が500万円あるので、1,500万円借りておきたいです」とお話しされました。
しかし、詳しくお話を伺うと、その申込金額の算出に明確な根拠はなく、「大体このくらいあればいいかな?」という状態でした。

S社の事業計画書を拝見すると、必要な資金は以下の通りでした。

  • 内装工事費: 800万円

  • 厨房機器・備品費: 300万円

  • 運転資金(3ヶ月分): 400万円

  • 必要な資金総額: 1,500万円

上記の通り、必要な資金総額は1,500万円ですが、ここから自己資金500万円を差し引くと、実際に必要な融資額は1,000万円となります
当初希望されていた1,500万円では、事業計画書に記載された必要資金との間に500万円ものズレが生じてしまいます。

これでは審査担当者から「なぜこんなに多く必要なのか?」と必ず問われ、事業計画の信憑性を疑われることになってしまいます。
そこで私たちは、S社の代表者様と一緒に事業計画書を再度見直し、本当に必要な資金と自己資金を考慮した上で、融資申込金額を1,000万円に設定し直しました。

結果として、S社は無事に希望額である1,000万円の融資を受けることができ、素敵な飲食店をオープンすることができました。

 


 

融資申込金額の設定でつまづきやすい3つのポイント

 

上記に挙げたS社のように、融資申込金額の設定でつまづいてしまう方は少なくありません。
ここでは、多くの方が陥りがちな3つのポイントを解説します。

 

1. 創業時の「運転資金」の設定が過大・過小算定されている

多くの方が、内装工事費や設備費といった「設備資金」については綿密に計算されますが、「運転資金」の見通しが甘くなりがちです。これはなぜか??
端的に言ってしまえば「やってみないと分からない」という点に尽きるからです。

設備資金についてはほぼ例外なく「資金使途確認資料」が存在します。これは内装工事でいうところの見積書や契約書にあたります。
設備資金は資金使途確認資料と申込金額を突合することで、事前に何の設備に幾ら必要なのかを確認することができるため、比較的綿密な計算が可能となります。

ですが、運転資金については毎月必ず費用が発生するものの、毎月の費用が必ずしも同額になることはありません。(例:水道光熱費や消耗品費、雑費など)
また、売上に応じて仕入れ数が変われば当然ながら経費も増加するため、今後発生するであろう運転資金の見通しについては、経験則に沿った算出になることが多いです。

そして、多くの企業は創業してすぐに売上が立つとは限りません。
そのため開業から数ヶ月間は、売上が計画通りにいかない可能性を考慮し、変動する経費や運転資金をしっかりと確保しておく必要があります。

ここを乗り切れないと会社は早々に事業停止に追い込まれることになります。

 

【よくある失敗例】
「開業後3ヶ月で黒字化する予定なので、その間しのげれば良い。運転資金は○○万円あればいいだろう」と考えてしまい、融資申込額が不足するケースです。
実際には、集客が軌道に乗るまでには数ヶ月~半年、もしくは1年近くかかることが一般的です。

また、8月に売上したお金が翌月に入金になったり、最近は少ないですが手形での支払いとなった場合、入金されるまでに30日~以上かかってきます。
そのため、私たち税理士は、お客様に最低でも「2~3ヶ月分の運転資金」を含めるようアドバイスしています。

 

2. 「自己資金」の根拠が曖昧である

日本政策金融公庫の創業融資では、申込者の自己資金が重要視されます。
この自己資金は、ご自身でコツコツと貯めてきた、事業に対する熱意や覚悟を測る指標だからです。

しかし、中には「親から借りたお金を自己資金として申告する」といったケースが見られます。

【よくある失敗例】
通帳のコピーに記帳された急な多額の入金は、審査担当者から「これは本当に自己資金ですか?」と疑われる可能性が高いです。
通帳に記録されたお金が、どのような経緯で貯められたものなのか、きちんと説明できなければなりません。

また、自己資金欄への記入のために一時的に通帳に入金するケース等もNGです。

 

EX:「たんす預金」の扱いについて = 自己資金として認められない事が多いです(例外あり

たんす預金は出所の証明がほぼ不可能なため、仮に毎月の給与ないし事業収入で積立していたとしても、それがご自身で積み立てられた資金かどうか、100%立証することが出来ません。
そのため、私たちは自己資金の出所を明確にし、最低6ヶ月以上かけてコツコツと貯めた履歴を提示できるようサポートしています。

 

3. 事業計画の「実現可能性」が低い

融資申込金額の根拠となるのは、すべて事業計画書に記載された数字です。
しかし、その数字自体に実現可能性がなければ、融資を受けることはできません。

例えば、「開業1ヶ月目で、いきなり月商500万円を達成する」といった非現実的な売上目標や、「競合店よりも明らかに低い価格設定」といった収支計画は、審査担当者から厳しくチェックされます。

【よくある失敗例】
競合店は月商300万円だから、うちは500万円いけるはず」といった安易な見込みで売上目標を設定してしまうケースです。
私たちは、なぜその目標が達成可能なのか、具体的な根拠(集客戦略、単価設定、客席数など)を盛り込み論理的に説明できる事業計画書を作成するお手伝いをしています。

 


 

まとめ

S様の事例や、多くの方がつまづきやすいポイントからもわかるように、創業融資の成功には、融資申込金額の適切な設定が不可欠です。

  • まず、設備資金運転資金を具体的に洗い出し、必要な資金総額を明確にしましょう。

  • 次に、ご自身の自己資金を把握し、その出所を証明できるようにしておきましょう。

  • 金額設定の際には、「多すぎず、少なすぎず」事業計画に基づいた、論理的な金額を提示することが重要です。

創業融資の申請は、あなたの事業の将来を左右する重要なプロセスです。適切な金額設定で、融資の成功をグッと引き寄せましょう。

名古屋起業スタートビジョンラボでは、創業したての方向けに、日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。

会社設立・起業のお悩みを
無料面談でお聞かせください

お電話でのお問い合わせ

0120-961-864受付時間 9:00〜18:00(平日)