社長の車はどこまで経費として認められる?
【起業家のための】初めての社用車、その一台が会社の未来を決める
こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。
「会社を設立したら、いつかは社長の車を…」 多くの起業家が一度は抱く夢かもしれません。
しかし、創業期のその一台の選択が、税務署に目をつけられる「最悪の一手」になる可能性もあります。
この記事では、まだ事業が軌道に乗っていない創業期の経営者に向けて、最初の社用車とどう向き合うべきか、税務と融資の両面から、失敗しないための具体的な知識を解説します。
そもそも、創業期に「社長の車」は本当に必要か?
税務や融資の話に入る前に、まず立ち止まって考えてほしいことがあります。
それは「今、本当に会社のお金で車を買うべきか?」という問いです。
キャッシュフローの罠
創業期のお金は、事業の成長に直結する「燃料」です。
広告宣伝費、人材採用費、商品開発費など、1円でも多く投下すべき領域があるはずです。
車両は便利な資産ですが、購入した瞬間から価値が下がる「減価償却資産」。
貴重な燃料を、事業の核ではない部分に投下するのは賢明な判断とは言えないケースが多いのです。
代替案の検討
まずは、以下の代替案で十分ではないか、徹底的に検討しましょう。
-
カーシェア・レンタカー: 使用頻度が低いなら、固定費のかからないこちらが圧倒的に有利です。
-
役員個人の車両の借り上げ: 社長個人の車を、業務で使った分だけ会社が借り上げる(日当やガソリン代を支払う)形です。会社としての大きな支出は避けられます。
それでも必要な場合の「税務」と「融資」の鉄則
上記の代替案を検討しても、なお事業に車が不可欠な場合、次の2つの鉄則を必ず守ってください。
【税務の鉄則】「事業への貢献度」を100%証明せよ
税務署が見ているのはただ一つ、「その車が、本当に事業のためだけに使われているか?」です。
これを客観的な証拠で証明できなければ、経費としては認められません。
-
走行記録は必須: いつ、どこへ、何のために、何キロ走ったのか。走行日報は必ず作成・保管しましょう。
-
家事按分を徹底する: もし少しでもプライベートで使う可能性があるなら、その割合(例:事業8割、個人2割)を合理的に計算し、事業分だけを経費にする「家事按分(かじあんぶん)」が必須です。100%経費にできるのは、100%事業用だと証明できる車だけです。
-
事業との関連性を明確に: なぜその車種でなければならないのか、論理的に説明できるようにしておきましょう。
【融資の鉄則】「未来への投資」として完璧に説明せよ
創業期の融資は、あなたの会社にとって初めての「金融機関からの評価」です。
ここで「この経営者は、お金の使い方が甘い」という印象を与えてしまうと、将来のより重要な融資(運転資金など)の道が閉ざされます。
銀行は、その車が「浪費」ではなく、会社の売上を伸ばす「投資」であると納得しなければ、決して資金を出しません。
-
費用対効果を示す: 「この営業車を導入することで、訪問件数が2倍になり、売上が〇〇円増加する見込みです」というように、具体的な数字で投資効果を説明しましょう。
-
身の丈に合った選択を: 事業規模や利益計画に見合わない高級車は、「浪費」と見なされる典型例です。
まずは堅実な車種から始め、事業の成長と共にステップアップを検討するのが定石です。
まとめ:最初の一台は、未来の「信頼」への投資
創業期の経営者にとって、最初の社用車選びは、単なる移動手段の選択ではありません。
それは、 「事業資金を適切に管理できるか」 「公私混同せず、規律を保てるか」 という、あなたの経営者としての資質が問われる、税務署と銀行に対する最初のプレゼンテーションです。
目先の見栄や節税メリットに囚われず、事業の成長に本当に貢献するのかという視点で冷静に判断すること。
その堅実な姿勢こそが、未来の「信頼」を勝ち取り、会社の成長を加速させる本当のエンジンとなります。
名古屋起業スタートビジョンラボでは、創業期の資金計画から、経費の判断、融資の相談まで、経営者の悩みを解決するためのサポートを行っています。
どんな些細な事でも構いませんので、お気軽にご相談ください。