建設業の方必見!創業融資を成功させる「利益」の考え方
こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。
「個人事業主から法人化して、もっと大きな仕事に挑戦したい」「まずは開業初年度から、5,000万円~1億円規模の事業を目指したい」
名古屋の建設業界で独立・創業を考えているあなたにとって、事業拡大の鍵を握るのが創業融資です。
しかし、「利益率と利益額、どっちをアピールすればいいの?」「事業計画書って、具体的に何をどう書けば評価されるの?」といった疑問をお持ちではありませんか?
この記事では、日本政策金融公庫の融資担当者が、あなたの事業計画をどのような視点で見ているのかを、「利益」というキーワードに絞って解説します。
単なる制度の説明ではなく、審査の裏側を知ることで、あなたの融資成功率を飛躍的に高めることができますので、ぜひ最後までお読みください。
建設業の創業融資で融資担当者が見る「本当のポイント」
日本政策金融公庫の融資審査では、あなたの事業が「将来にわたって安定的に利益を生み出し、確実に返済できるか」が最も重視されます。
この判断材料となるのが、事業計画書に記載された「利益率」と「利益額」です。
1. 利益率:あなたの「経営能力」を測るモノサシ
融資担当者は、まずあなたの利益率を見て、「この経営者は、ちゃんと利益を残せる管理能力があるか?」を判断します。
たとえば、資材の仕入れや外注費、人件費など、コスト管理が甘いと利益率は低くなります。
粗利率が10%の会社と、20%の会社では、同じ売上でも残る利益に大きな差が生まれます。
利益率が高いほど、あなたのコスト管理能力や業務効率が良いと評価されるのです。
しかし、建設業の場合、景気や資材価格の変動によって利益率は上下します。
融資担当者は、一時の利益率だけでなく、「なぜこの利益率を達成できるのか?」という具体的な根拠(例:資材をまとめて仕入れる計画、外注先との長期契約など)を求めています。
2. 利益額:あなたの「返済能力」を測るモノサシ
一方、利益額は、「実際に融資を返済できるだけのキャッシュ(お金)を稼げるか?」を判断するための最も重要な指標です。
利益額は、事業の規模と直接結びつきます。
たとえ利益率が50%と高くても、年間売上が1,000万円であれば、利益額は500万円です。
この利益から、社長の役員報酬や、将来の設備投資、そして借入金の返済を行います。
融資担当者が重視するのは、「月々の返済額に対して、どれだけの余裕があるか」という点です。
例えば、月10万円の返済額に対して、利益額が月10万円ではギリギリすぎます。
リスクを考慮し、返済額の2倍から3倍程度の利益額を安定的に生み出す計画が求められます。
融資担当者の本音:「利益率より利益額」が重要
融資担当者の本音は、「利益率の高さよりも、返済に足る十分な利益額があるかどうか」です。
ここが融資の可否を分ける決定的なポイントになります。
以前、ご相談に来られた内装工事業を営むBさんの事例をご紹介します。
Bさんの事業計画は、高い技術を活かした高単価な工事で、粗利率が35~40%/件と非常に高い利益率を計上していました。
しかし、お一人で施工作業をされていたため年間施工件数は12件と少なく、お仕事の依頼はあっても数をこなすことが出来ずにお断りするケースが続いており、Bさんの前年決算は年間売上は1,600万円、利益額は590万円でした。
Bさんが運転資金と設備資金の融資相談をした際に、融資担当者から「Bさんの事業における利益率は評価できるが、利益額が少ないため、予期せぬ工事遅延やトラブルが発生した場合、返済が滞るリスクがある」と指摘されました。
そこで私たちはBさんとの話し合いの中で行った事は
①受注件数を現状の倍に増やす見込みを作ること
②それに伴う外注費や人件費を詳細に盛り込むこと
③今期の年間売上目標を3,000万円、利益額900万円とする
(当所相談前:売上1,600万円、利益590万円 → 当所相談後:売上3,000万円、利益950万円)
としました。
上記目標を設定したことで、Bさんは直ぐに行動に移し、今までお断りしてきた案件を受注し、協力業者へ仕事の仲介を行い、現場施工のみならず現場管理(施工内容のチェックなど)を行う事で目標達成出来そうな算段がつきました。
その内容を踏まえ、再度融資の相談に伺い、融資申込を行いました。
その結果、相談前と比べ利益率は下がりましたが、より現実的で説得力のある利益額を提示できたことで、Bさんは無事に希望額の融資を獲得できました。
ちなみにBさんの当期決算の結果は、売上3,130万円、利益905万円でした。
このように、高い利益率を誇るだけでなく、事業の規模を拡大し、返済に十分な利益額を確保する計画が、融資成功には不可欠です。
但し、やみくもに数字を上げるだけでは計画の実現性が無いと判断されてしまいます。
そのため少なくとも次の4点は必ず聞かれても答えられるようにしておきたいです。
・「どのような活動をすることで売上増加につなげるのか?」
・「売上増加に伴い、経費負担がどのくらい増加するのか?」
・「絵に描いた餅にならないよう、具体的な根拠(エビデンス)があるのか?」
・「結果的に、今よりも利益額は増加するのか?」
上記4点のポイントをしっかり詰めることで、計画の実現性がグッと高まりますので、この4点のポイントは覚えておいてください。
建設業特有の「運転資金」と「キャッシュフロー」の重要性
創業融資の審査では、利益計画と合わせて「運転資金」と「キャッシュフロー」の健全性が厳しくチェックされます。
特に、建設業は工事のサイクルが長いため、この2つが事業の安定性を左右する重要な要素となります。
運転資金:なぜ建設業は資金繰りが難しいのか?
運転資金とは、事業を円滑に回していくために必要な資金のことです。
建設業の場合、資材の仕入れ代金や協力会社への外注費、従業員への人件費など、工事が完了して売上金が入金されるまでの間に、多くの費用を先行して支払う必要があります。
たとえば、ある工事が完了し、お客様から代金を受け取れるのが2ヶ月後だとします。
この2ヶ月間、資材費や人件費の支払いが滞ってしまうと、事業はたちまち行き詰まってしまいます。
融資担当者は、事業計画書に記載された売上計画から、必要な運転資金を正確に計算し、「この事業は資金ショートを起こさず、安定的に運営できるか?」を判断します。
キャッシュフロー:利益と現金のズレを理解する
キャッシュフロー=「お金の流れそのもの」のことを指します。
「利益が出ているのに、なぜか手元にお金がない…」という状態は、まさにキャッシュフローが悪化している典型例です。
建設業では、売上計上と入金にタイムラグが発生することが多々あります。
たとえば、決算期末に工事が完了し、売上は立ったものの、入金が翌期にずれ込むケースです。
帳簿上は利益が出ていても、手元の現金が不足してしまい、融資の返済が困難になることもあり得ます。
融資担当者は、このキャッシュフローの計画を非常に重視します。
あなたの作成した事業計画書が、単なる机上の空論ではなく、現実的なお金の流れを考慮しているかどうかを見極めるのです。
まとめ
この記事では、建設業の創業融資における利益率と利益額に加え、運転資金とキャッシュフローの重要性について解説しました。
高い利益率をアピールするだけでなく、融資の返済に耐えうる十分な利益額を、現実的な運転資金の計画に基づいて示すことが、融資担当者の信頼を勝ち取る上で最も重要です。
名古屋起業スタートビジョンラボでは、建設業の特性を理解した上で、融資担当者の目線に立った事業計画書の作成をサポートしています。
日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。