創業計画書で審査に落ちるNG例とは?
日本政策金融公庫の融資担当者が見るポイントを税理士が解説
こんにちは!起業スタートビジョンラボです。
年末も近づいてきたことから、「いよいよ日本政策金融公庫に創業融資を申し込むぞ!」と意気込んで、創業計画書(事業計画書)の作成に取り掛かっている方も多いのではないでしょうか。
しかし同時に、「自分の書いた計画書で本当に審査に通るだろうか…」「何を書けばよくて、何を書くとNG(審査に落ちる理由)になるのか分からない」といった不安を感じていませんか?
この記事では、名古屋で多くの創業支援を手掛けてきた税理士の視点から、日本政策金融公庫の融資審査で見落としがちな創業計画書の「NG例」や、特に重要な「事業の見通し」の作成で気を付けるべきポイントを徹底解説します。
創業融資の審査通過率を少しでも上げたいあなたは、ぜひ最後までじっくりお読みください!
創業計画書(事業計画書)が融資審査のキモ!なぜ重要なのか?
創業融資、特に日本政策金融公庫の審査において、創業計画書はあなたの「事業の設計図」であり、「情熱の証明書」です。
なぜこの書類がこれほどまでに重要視されるのか、その理由から見ていきましょう。
日本政策金融公庫の審査は「人物面」と「事業面」
日本政策金融公庫の審査では、大きく分けて2つの側面から総合的に判断されます。
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人物面:経営者としての資質や経験、自己資金の準備状況、返済に対する誠実さなど。
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事業面:そのビジネスが本当に実現可能か、将来的に収益を上げ、借りたお金を返済できるか。
このうち、「事業面」のほぼすべてを審査担当者に伝える役割を担うのが、創業計画書なのです。
なぜ創業計画書がこれほど重要視されるのか?
創業融資は、まだ実績のない「これからの事業」に対して行われる融資です。
銀行が企業の決算書を見て融資を判断するのとは異なり、公庫の担当者は「あなたの作成した創業計画書」を基に、事業の将来性を判断するしかありません。
つまり、創業計画書が杜撰(ずさん)だったり、内容が曖昧だったりすると、「この人は事業計画を真剣に考えていないな」「この計画では返済が難しそうだ」と判断され、審査に落ちる大きな理由となってしまうのです。
【重要】融資担当者がチェックする「事業の見通し」のNGポイント
創業計画書の中でも、特に担当者が厳しくチェックするのが「事業の見通し(収支計画)」です。
ここで「見通しが甘い」と判断されると、致命的です。 創業者が陥りがちな「事業の見通し」に関するNG例を3つご紹介します。
NG例1:売上予測の根拠が「希望的観測」になっている
最も多いNG例がこれです。
「なんとなくこれくらい売れたらいいな」「競合のA店が繁盛しているから、うちも同じくらいは売れるはず」といった、客観的な根拠のない売上予測はNGです。
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担当者の視点:「なぜ、この売上高が達成できるのですか?」「平日と休日、ランチとディナーでの客単価と客数の見込みは?」「集客方法と、それによって何人来店する見込みですか?」
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対策:売上予測は、「客単価 × 客数 × 営業日数」などの具体的な計算式で示します。その「客単価」や「客数」がなぜその数字になるのか。
例えば「商圏調査の結果、1日の通行量が〇人だから」「類似店舗の平均単価が〇円だから」といった客観的な根拠を必ずセットで説明できるようにしてください。
NG例2:経費・支出の見積もりが甘い、漏れがある
売上を楽観的に見積もる一方で、経費を過小に見積もるケースも非常に多いNG例です。
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担当者の視点:「家賃や人件費は分かりますが、水道光熱費や通信費、広告宣伝費、消耗品費は計上されていますか?」「社会保険料の会社負担分が抜けていませんか?」
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対策:経費は「これでもか」というほど細かく洗い出してください。
固定費(家賃、リース料、人件費など)と変動費(仕入れ、消耗品費など)に分け、それぞれ具体的な金額を見積もります。
特に、開業当初は見落としがちな諸経費も多めに計上し、「現実的」な支出計画を立てることが信頼につながります。
NG例3:競合調査や市場分析が不足している
「このエリアには競合がいないから独占できる」といった分析は、見通しが甘いと判断されます。
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担当者の視点:「本当に競合はいないのですか?」「直接的な競合でなくても、お客様のニーズを満たす代替サービスはありませんか?」「その市場は今後も成長する見込みがありますか?」
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対策:SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)などを用いて、自社の立ち位置を客観的に分析しましょう。
競合の強みと弱みを明確にし、その上で自社が「どのような強み」で「どの顧客層」にアピールするのかを具体的に示す必要があります。
創業者が見落としがちな創業計画書のNG項目
「事業の見通し」以外にも、創業計画書全体で審査担当者がチェックするNG項目があります。
これらは「事業への本気度」を測るバロメーターにもなりますので、注意しましょう。
NG例4:「創業の動機」が曖昧で情熱が伝わらない
「会社勤めが嫌になったから」「儲かりそうだから」といった動機では、事業を継続する意志を疑われます。
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担当者の視点:「なぜ、他のビジネスではなく、この事業なのですか?」「困難があっても乗り越えられますか?」
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対策:創業の動機は、あなたの「原体験」や「専門性」と結びつけてください。
「前職で〇〇という課題を感じ、それを解決したかった」「長年培ったこの技術で地域に貢献したい」など、その事業でなければならない理由を情熱的に、かつ論理的に説明することが重要です。
NG例5:「取扱商品・サービス」の内容や強みが不明確
自分では理解していても、第三者に伝わらなければ意味がありません。
「他にはない、こだわりのサービス」といった抽象的な表現はNGです。
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担当者の視点:「具体的に、競合の商品と何が違うのですか?」「お客様にとってのメリットは何ですか?」
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対策:提供する商品・サービスを具体的にリストアップします。そして、それぞれの「価格」「特徴(強み)」「ターゲット顧客」を明確にしてください。
特に「強み」は、競合と比較して何が優れているのかを具体的に記述しましょう。
NG例6:「自己資金」の形成過程が説明できない
融資審査において、自己資金は「事業への本気度」を示す最も重要な指標の一つです。
自己資金が少ない、あるいはその出所が不明瞭なのは大きなNGとなります。
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担当者の視点:「この自己資金は、いつからどのように貯めてきたのですか?」「一時的に親族から借りたお金(見せ金)ではありませんか?」
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対策:コツコツと計画的に貯めてきたことを証明するため、通帳のコピー提出を求められます。
毎月給与から一定額を貯蓄してきた履歴が明確であれば、計画性が高く評価されます。
逆に、直前に大きな入金がある場合は、その理由を明確に説明できなければなりません。
NG例7:文章や数字に具体性がない
創業計画書全体を通して、「頑張ります」「なるべくコストを抑えます」「多くのお客様に来てもらえるよう努力します」といった精神論や曖昧な表現はNGです。
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担当者の視点:「『頑張る』とは、具体的に何を、いつまでに、どうするのですか?」「数字の根拠がどこにも書かれていない…」
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対策:すべての項目を「5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)」で説明する意識を持ちましょう。
数字には必ず根拠を添え、専門用語を知らない担当者が読んでも、あなたの事業が頭の中で映像化できるレベルまで具体的に書き込むことが成功の鍵です。
審査の「通過率」を上げる、税理士という選択肢
ここまでNG例やポイントを解説してきましたが、「自分一人で完璧な計画書を作るのは難しい…」と感じた方も多いかもしれません。
そのような時は、創業支援に強い税理士に相談することを強くおすすめします。
メリット1:審査通過率を高める「現実的」な事業計画書を作成できる
税理士は、財務と数字のプロフェッショナルです。
見落としがちな経費の漏れや、甘い売上見通しを厳しくチェックし、客観的な根拠に基づいた「現実的」な事業計画書の作成をサポートします。
融資担当者が納得しやすい資料作りは、審査通過率の向上に直結します。
税理士の“ホンネ”
私たち専門家が計画書を見る時、「これは通らない」と瞬時にわかる計画書があります。
それは「数字の“辻褄(つじつま)”が合っていない」計画書です。
『売上予測は楽観的なのに、人件費や広告宣伝費が現実的でない。自己資金と開業資金のバランスが取れていない。』
審査担当者は、日々何十通もの計画書を見ており、この「辻褄」の合わなさを100%見抜きます。
税理士に相談する最大のメリットは、この「客観的な辻褄合わせ(=現実的な計画へのブラッシュアップ)」を、面談前に完了できる点にあるのです。
メリット2:面談対策や資金繰りのアドバイスも受けられる
融資審査では、計画書の内容をもとにした「面談」が行われます。
税理士に相談すれば、面談でどのような質問が想定されるか、どう答えればよいかといった具体的なアドバイスがもらえます。
これは非常に心強いサポートとなるはずです。
メリット3:融資実行後の経営・税務もワンストップで任せられる
税理士の役割は、融資を通して終わりではありません。本当に大変なのは、事業が始まってからです。
融資後の会計処理、税務申告、資金繰りの管理まで、経営のパートナーとして継続的にサポートを受けられることは、創業者にとって最大のメリットの一つです。
まとめ
今回は、日本政策金融公庫の創業融資で審査に落ちるNG例を中心に、創業計画書作成で気を付けるべきポイントを解説しました。
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創業計画書は、実績のない創業者の「事業面」を評価する唯一の資料であり、非常に重要です。
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特に「事業の見通し」は厳しく見られます。「希望的観測」や「根拠のない数字」はNGです。
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「動機」「自己資金」「具体性」など、見落としがちな項目も事業への本気度を示す上で重要です。
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「具体性」「客観的な根拠」「一貫したストーリー」を意識して作成しましょう。
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審査の「通過率」を上げるなら、専門家である税理士に相談するのが近道です。
創業計画書の作成は大変な作業ですが、これは融資のためだけでなく、事業を成功させるための「設計図」を作る大切なプロセスです。
ぜひ時間をかけて、担当者の心を動かす計画書を完成させてください。
起業スタートビジョンラボでは、創業したての方向けに、日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。

