日本政策金融公庫の創業融資Q&A (融資全般編)
創業融資について、あなたの疑問を税理士が徹底解説!
こんにちは!起業スタートビジョンラボです。
「創業融資ってなんだか難しそう…」「日本政策金融公庫って、具体的にどうすればいいの?」と、資金調達に関して多くの疑問や不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、初めての創業で右も左もわからない中で、金融機関とのやり取りは大きなハードルに感じられますよね。
この記事では、そんなあなたの悩みを解決すべく、日本政策金融公庫の創業融資について、よくある疑問をQ&A形式で分かりやすく解説していきます。
申請プロセスから資金用途、審査準備、そして税理士による金融サポートまで、あなたの知りたい情報を網羅的にご紹介しますので、融資を成功させるための具体的なステップが見えてくるはずです。
これから融資を検討しているあなたは、ぜひ最後までじっくりお読みください!
・日本政策金融公庫とは?創業融資の基本を理解しよう
創業融資を考える上で、まず知っておきたいのが「日本政策金融公庫」です。
日本政策金融公庫は、政府が100%出資している金融機関で、中小企業や小規模事業者、創業を考えている方々に対して、民間の金融機関では対応しにくい融資を積極的に行っています。
特に、創業期の企業は実績がないため、民間の銀行からの融資は難しいケースが多いです。
しかし、日本政策金融公庫は国の政策として創業支援を重視しているため、創業期の事業者でも融資を受けやすいという大きな特徴があります。
・創業融資における日本政策金融公庫のメリット・デメリット
日本政策金融公庫の創業融資には、起業者にとって大きなメリットがある一方で、いくつか注意すべきデメリットも存在します。
これらの点を理解しておくことで、よりスムーズに融資の準備を進めることができます。
日本政策金融公庫のメリット
日本政策金融公庫から融資を受けるメリットは多岐にわたります。
まず、最大のメリットとして挙げられるのが、無担保・無保証で融資を受けられる点です。
一般的な金融機関での融資では、担保や保証人が求められることが少なくありませんが、日本政策金融公庫の特定の制度ではこれらが不要となるケースがあります。
これにより、起業家は個人資産をリスクにさらすことなく、事業資金を調達できる可能性が高まります。
次に、金利が比較的低いという点も大きなメリットです。
民間の金融機関と比較して、政策的な意味合いを持つ融資であるため、低金利で資金を調達できる傾向にあります。
これにより、返済負担を軽減し、事業の資金繰りを安定させやすくなります。
さらに、融資実績がない創業間もない企業でも融資を受けやすいという点も魅力です。
民間の金融機関では過去の実績が重視されますが、日本政策金融公庫は創業支援を目的としているため、事業計画の将来性や起業家の熱意を評価してくれます。
日本政策金融公庫のデメリット
一方で、日本政策金融公庫の融資にはデメリットも存在します。一つは、審査期間が比較的長い傾向にあることです。
申込みから融資実行までには、書類準備、面談、審査など、通常1ヶ月から2ヶ月程度の期間を要することが多いです。急ぎで資金が必要な場合には、注意が必要です。
また、提出書類が多く、準備に手間がかかるという点も挙げられます。
事業計画書はもちろんのこと、自己資金の出所を証明する資料や、創業に関する詳細な情報など、多岐にわたる書類の準備が求められます。
これらの書類を正確かつ説得力のある形で作成するには、かなりの時間と労力を要します。
さらに、一度審査に落ちると再申請が難しいという点も認識しておくべきです。
日本政策金融公庫は、一度審査で不承認となると、すぐに再申請しても結果が変わる可能性は低い傾向にあります。
そのため、初回申請時の準備を万全にして臨むことが非常に重要になります。
・創業融資の疑問を解決!日本政策金融公庫Q&A
ここでは日本政策金融公庫の創業融資に関して、これから融資を検討している方が抱きやすい疑問をQ&A形式で解説します。
Q1. 創業融資の申請プロセスは複雑ですか?
A1. 創業融資の申請プロセスは、決して単純ではありませんが、手順を理解し、適切な準備をすればスムーズに進めることができます。
まず、最初に日本政策金融公庫の支店に相談に行き、融資制度の説明を受けます。
次に、必要書類の準備に入りますが、特に事業計画書は融資の可否を左右する重要な書類です。
事業計画書が完成したら、必要書類をすべて揃えて申請します。
その後、担当者との面談があり、事業内容や資金計画について詳しく質問されます。
面談後は、融資の審査が行われ、無事に審査に通れば融資が実行されます。
以前ご相談に来られたK社様も、初めての申請で不安を抱えていましたが、事前にしっかり準備を進めたことで、面談もスムーズに終わり、無事に融資を受けることができました。
Q2. 借りたお金はどんな用途に使えるの?
A2. 日本政策金融公庫の創業融資は、事業に必要な幅広い用途に利用できます。
具体的には、店舗や事務所の敷金・礼金、内装工事費、機械設備や車両の購入費用といった設備資金、そして、商品の仕入れ費用、広告宣伝費、人件費、などの運転資金に充てることができます。
ただし、個人の生活費や、既に支払い済みの経費(領収書無しの場合)など、事業に直接関係のない費用に充てることはできません。
資金使途は事業計画書に明記し、面談時にも明確に説明できるように準備しておくことが重要です。
クライアント様からこれって事業資金に含まれますか?と質問されることもありますが、明確に事業用途で使用するものは該当しますが、事業用途以外にも転用できるものについては注意が必要です。→ EXにて詳細を記載します。
Q3. 審査で特に重視されるのはどんな点ですか?
A3. 創業融資の審査では、主に「自己資金」「事業計画の具体性・実現可能性」「経営者の資質」の3点が重視されます。
まず、自己資金は、事業に対する本気度を示す重要な要素と見なされます。
自己資金が多いほど、融資を受けやすくなる傾向にあります。
次に、事業計画書は、あなたの事業がどのように収益を上げて、どのように融資を返済していくのかを具体的に示すものです。
市場分析、競合分析、販売戦略、収益計画などを詳細に記述し、実現可能性の高い計画であることが求められます。
最後に、経営者の資質も重要な要素です。事業に対する情熱、経験、自己管理能力などが面談を通して評価されます。
以前の事例で、自己資金は少なかったものの、非常に説得力のある事業計画と、事業への強い情熱をアピールできた方が、無事に融資を獲得したケースもありました。
Q4. 自己資金はどのくらい必要ですか?
A4. 必要な自己資金の額は、融資を希望する金額や事業内容によって異なりますが、一般的には創業資金総額の10%〜30%程度が目安とされています。
例えば、1,000万円の融資を希望する場合、100万円から300万円程度の自己資金があると、審査に通りやすくなります。
これは、自己資金が多いほど、起業家のリスク負担能力が高く、事業への本気度が高いと判断されるためです。
また、自己資金の出所も重要です。コツコツ貯めてきた貯蓄であることや、親族からの贈与である場合など、明確な説明ができるように準備しておきましょう。
Q5. 事業計画書ってどうやって作ればいいの?
A5. 事業計画書は、あなたの事業の「設計図」であり、融資担当者にあなたの事業の魅力を伝えるための最も重要なツールです。
事業計画書には、事業の概要、サービス・商品の詳細、市場の分析、競合との差別化、販売戦略、収益計画、資金計画などを盛り込みます。
特に、数字に基づいた具体的な収益予測や、返済計画は詳細に記載することが求められます。
ご自身で作成するのが難しいと感じる場合は、税理士や中小企業診断士といった専門家に相談することをおすすめします。
専門家のアドバイスを受けることで、より説得力のある事業計画書を作成することが可能になります。
Q6. 税理士に相談するメリットは何ですか?
A6. 税理士に創業融資の相談をすることには、非常に大きなメリットがあります。
まず、事業計画書の作成をサポートしてくれるという点です。
税理士は、事業の収支計算や資金繰りに関する専門知識を持っているため、実現可能性の高い、説得力のある事業計画書の作成を支援してくれます。
次に、融資面談のシミュレーションやアドバイスも提供してくれます。
面談でどのような質問がされるのか、どのように答えるべきかなど、事前に準備しておくことで、本番で落ち着いて対応することができます。
さらに、税理士は日本政策金融公庫の融資制度に精通しており、あなたの事業に最適な融資制度の提案や、必要書類の準備を効率的に進めるサポートもしてくれます。
結果として、融資成功の確率を大幅に高めることができるでしょう。
EX:資金使途違反に関する注意事項について
創業融資における資金使途については非常に重要なポイントです。
特に、事業用途外への転用が可能なものについては、日本政策金融公庫も厳しくチェックします。
事業に使用すると申請したにもかかわらず、その融資金を事業用途以外に転用する行為は、「資金使途違反」にあたり、重大な問題として扱われます。
これは、融資契約に違反する行為であり、以下のような厳しいペナルティが課される可能性があります。
資金使途違反の具体的な扱いとペナルティ
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融資の一括返済要求: 最も重いペナルティとして、融資金の全額を一括で返済するよう求められる可能性があります。これは、事業の継続に深刻な影響を与えます。
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追加融資の不可: 一度資金使途違反が発覚すると、今後、日本政策金融公庫からの追加融資はもちろんのこと、他の金融機関からの融資も非常に困難になるでしょう。
金融機関からの信用を失うことになります。 -
詐欺罪に問われる可能性: 悪質なケースや、虚偽の申請によって融資を受けた場合は、詐欺罪として法的責任を問われる可能性もゼロではありません。
なぜ資金使途が厳しくチェックされるのか
日本政策金融公庫は、国の政策に基づいて中小企業や創業者の育成・支援を目的としています。
そのため、融資金が適切に事業に投じられ、その資金が日本の経済発展に寄与することが期待されています。
資金使途が不明瞭であったり、事業と関係のない用途に使われたりすることは、その政策目的から逸脱する行為とみなされるため、非常に厳しく監視されます。
事業用途外に転用できるものに対する考え方
例えば、パソコンや車両など、事業とプライベートの両方で利用できるものについては、その利用目的と割合を明確に説明する必要があります。
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購入前に申告・相談: 融資申請の段階で、その物品の購入費を盛り込む場合、その物品が事業にどのように貢献するのか、また、プライベートでの利用が発生する可能性があるのであれば、その割合などを正直に申告することが重要です。
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明確な説明: 面談時にも、その物品が事業活動に不可欠である理由や、具体的な使用頻度、事業への貢献度などを論理的に説明できるように準備しておきましょう。
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後日確認の可能性: 融資実行後も、購入した物品が本当に事業に使われているか、領収書や帳簿などで確認されることがあります。
特に、設備資金として融資を受けた場合、固定資産台帳への記載の有無などで資金使途が確認される可能性があります。
資金使途違反が発覚するケース
「バレなければいいか」と考える方もいますが、資金使途違反は意外な形で発覚することがあります。
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決算書や帳簿の確認: 融資後も、日本政策金融公庫は事業者の決算書や試算表の提出を求めることがあります。
これらの書類から、当初の事業計画と異なる資金の流れが見られた場合、資金使途違反を疑われる可能性があります。 -
現地調査: 融資実行後に現地調査が行われることは稀ですが、不審な点がある場合や、返済状況が悪化した場合には、事業実態や資金使途の確認のために担当者が訪問する可能性もゼロではありません。
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情報漏洩: 従業員や取引先などからの情報が金融機関に伝わる可能性も考えられます。
もし資金使途を変更したい場合は?
もし、当初予定していた資金使途から変更せざるを得ない状況になった場合は、絶対に自己判断で資金を使途外に転用してはいけません。
必ず、日本政策金融公庫の担当者に速やかに相談し、変更の承認を得るようにしてください。
正当な理由があれば、変更が認められるケースもあります。
信頼関係を築くことが、今後の事業運営においても非常に重要です。
正直に相談し、適切な手続きを踏むことが、無用なトラブルを避ける最善の方法です。
まとめ
この記事では、日本政策金融公庫の創業融資について、よくある疑問をQ&A形式で解説しました。
創業融資は、あなたの事業をスタートさせるための重要な第一歩です。日本政策金融公庫の制度を理解し、適切な準備を行うことで、融資成功の可能性は大きく高まります。
特に、自己資金の準備、説得力のある事業計画書の作成、そして何よりも事業に対する熱意と具体的な展望を明確に伝えることが成功の鍵となります。
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