公庫の創業融資は他の融資制度と何が違うのか?


 

こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。

「起業したいけど、お金のことが一番の心配…」「創業に関する融資って色々な種類があるけど、どれが自分に合っているんだろう?」そうお考えではありませんか?
特に、日本政策金融公庫の創業融資については、よく耳にするけども、具体的にどんな特徴があるのか、他の融資と何が違うのか、分からずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、公庫の創業融資についての特徴や、他の融資制度との違いについて、創業支援を専門とする税理士の視点からわかりやすく解説します。
今までも創業融資に関するコラムを書いてきましたが、この記事を読めば、公庫融資の全体像を理解し、ご自身にとって最適な資金調達方法を見つけるためのヒントを得ることができると思います。

創業融資について具体的な情報が欲しいあなたは、ぜひ最後までじっくりお読みください!

 


 

創業融資の代表格「日本政策金融公庫」とは

 

日本政策金融公庫(以下、公庫)は、国が100%出資している金融機関です。
そのため、民間の金融機関では対応しきれない中小企業や小規模事業者、農林漁業者などを支援することを目的としています。

特に、創業期の事業主にとっては、非常に心強い存在です。

公庫が提供する創業融資制度は、民間の金融機関に比べて審査のハードルが比較的低いと言われています。
また、無担保・無保証で借り入れができる制度があるなど、起業家にとって多くのメリットがあります。

 

公庫融資が起業家から選ばれる理由(3選)

 

公庫融資が多くの起業家から選ばれるのには、明確な理由があります。
代表的なメリットをいくつかご紹介しましょう。

一つ目のメリットは、実績のない創業期でも融資を受けやすい点です。
通常の銀行融資は、過去の経営実績や財務状況を厳しく審査しますが、公庫は将来の事業計画や熱意を重視します。

そのため、「まだ事業を始めたばかりで実績がない…」という方でも、融資を受けられる可能性が十分にあります。

二つ目のメリットは、融資の利率が比較的低いことです。
公庫は国が運営する政策金融機関のため、民間の金融機関よりも低金利で融資を受けることができます。

長期的に見ると、金利の差は大きな負担軽減につながります。

三つ目のメリットは、担保や保証人が原則不要な制度があることです。
特に「新創業融資制度」の後継として始まった「新規開業・スタートアップ支援資金」などは、担保に関しても一昔前に比べ、お客様の状況を鑑みた上で検討する姿勢に変わりつつあります。

これは、起業家にとって大きなリスク軽減となります。

 

公庫融資における注意点(3選)

 

多くのメリットがある公庫融資ですが、注意すべきデメリットも存在します。
これらの点を理解した上で、利用を検討することが重要です。

 

一つ目のデメリットは、融資実行までに時間がかかる可能性があることです。
一般的に、申し込みから融資実行までには1ヶ月から1ヶ月半程度の期間を要します

急ぎで資金が必要な場合は、スケジュールの余裕をもって早めに相談することが不可欠です。
但し、本コラムに後述していますが、制度融資と比べてどちらが早いかと言われれば、同程度か公庫の方が少し早く融資決定するケースもあります。

 

二つ目のデメリットは、公には撤廃されましたが、未だ自己資金の有無が審査に大きく影響する点です。
これは当然と言われれば当然ですが、自己資金を用意しているかどうかで事業への本気度を測ることができます。

自己資金を1円も用意せず開業する方と、開業に向けてコツコツと貯めてこられた方を見比べてみて、他の人から見たらどう思われるか?
ご自身がお金を貸す側に立って見れば、答えは明白かと思います。

また、事業計画書に記載した自己資金の金額や出所については、厳しくチェックされます
例えば、タンス預金など、出所が不明瞭な資金は自己資金として認められないケースがあります。

 

三つ目のデメリットは、面談の準備が非常に重要になることです。
公庫の担当者との面談では、事業計画の内容はもちろん、事業に対するあなたの熱意や、なぜこの事業を始めるのかといった想いも問われます。
事業計画書の内容を丸暗記するのではなく、自分の言葉で説明できるように準備しておく必要があります。

 


 

公庫の創業融資と他の融資制度との違い

 

創業融資には、公庫融資以外にもいくつかの選択肢があります。
ここでは、代表的な「制度融資」との違いを比較してみましょう。

ご自身の事業内容や状況に合わせて最適な資金調達方法を選ぶことが大切です。

 

制度融資とは?

 

制度融資は、都道府県や市区町村といった地方自治体、信用保証協会、そして民間の金融機関(銀行や信用金庫)の三者が連携して行う融資制度です。
地方自治体が事業者を支援するために、信用保証協会の保証料や金融機関の金利の一部を補填することで、中小企業や創業者が融資を受けやすくなっています。

制度融資も創業期の資金調達手段として広く利用されており、公庫融資と同様に低金利で融資を受けられるというメリットがあります。

 

 

公庫融資と制度融資の比較

 

公庫融資と制度融資は、どちらも創業融資の代表格ですが、いくつかの違いがあります。
これらの違いを理解することで、どちらがご自身の状況に適しているかを判断することができます。

 

1. 融資の主体

公庫融資は、国が100%出資する日本政策金融公庫が直接融資を行います。
一方で、制度融資は、地方自治体、信用保証協会、民間の金融機関の三者が連携して行います。

公庫融資は国という一つの主体が直接審査を行うため、手続きが比較的シンプルである点が特徴です。

 

2. 審査期間

公庫融資の審査期間は、先述の通り、申し込みから実行まで約1ヶ月から1ヶ月半程度です。
一方、制度融資は三者連携のため、審査に時間がかかる場合があります。

具体的には、信用保証協会の保証審査や、金融機関の審査・稟議など、複数のステップを踏むため、全くの新規申込からスタートすると、融資実行までに2ヶ月から3ヶ月近くかかるケースも珍しくありません

そのため、「とにかく早く資金が必要」という場合は、公庫融資の方がスピーディーな資金調達が期待できるでしょう。

 

3. 資金使途の自由度

公庫の創業融資は、運転資金だけでなく、設備資金としても幅広く利用できます。
制度融資も同様ですが、自治体によっては特定の用途に限定される場合もあるため、事前に確認が必要です。

 

4. 面談の有無

公庫融資では、担当者との面談が必須となります。
この面談で、事業計画の具体性や熱意を直接伝えることが重要です。

制度融資の場合、金融機関の担当者や信用保証協会の担当者との面談が発生することがあります。

これらの違いから、どちらの融資制度がご自身に適しているか判断する材料にしてください。
例えば、「事業計画を直接アピールしたい」という場合は公庫融資、「複数の選択肢を比較検討したい」という場合は制度融資が適しているかもしれません。

 


 

創業融資の審査ポイントを税理士が解説

 

公庫融資、制度融資のどちらを検討する場合でも、審査を通過するためには共通のポイントがあります。
税理士として、これまで多くの創業期の事業主様をサポートしてきた経験から、特に重要だと感じるポイントをいくつかご紹介します。

 

1. 自己資金の証明

創業融資において、自己資金は非常に重要な審査ポイントです。
公庫融資においては、自己資金の要件が定められていることもあり、その金額と出所が厳しくチェックされます。

特に、自己資金がどのように形成されたのかを明確に説明できるように、預金通帳の履歴などを準備しておく必要があります。

以前ご相談に来られたA社は、自己資金の大部分がご家族からの援助でしたが、その経緯を丁寧に説明し、贈与契約書などの書類も準備したことで、審査を通過しました。
一方、出所が不明瞭な現金がある場合は、審査でマイナス評価となるリスクがあるため注意が必要です。

 

2. 事業計画書の説得力

事業計画書は、あなたのビジネスの未来を伝えるための最も重要な書類です。
なぜこの事業を始めるのか、市場にどのようなニーズがあるのか、どのようにして収益を上げるのか、といった点を具体的に記述する必要があります。

単に数字を並べるだけでなく、その数字の根拠(市場調査の結果、顧客の動向、競合他社の分析など)を明確にすることが説得力を高めます。
また、もし創業融資で借りた資金を運転資金に使うのであれば、どのように資金運用していくのかを具体的に記載しましょう。

 

3. 事業主の経験と熱意

融資担当者は、事業計画書の内容だけでなく、事業主の人間性や熱意も見ています。
過去に似た業界での職務経験があるか、資格を保有しているか、といった点はプラスの評価につながります。

たとえ経験が浅くても、なぜこの事業に懸けるのか、どんなビジョンを持っているのかを熱意をもって伝えることができれば、審査に有利に働きます。
面談の際は、ただ事業計画書を読み上げるのではなく、自分の言葉で想いを伝えることを心がけてください。

 


 

まとめ

 

本日は、日本政策金融公庫の創業融資の特徴を中心に、他の融資制度(特に制度融資)との違い、そして審査のポイントについて解説しました。
公庫融資は、創業期でも融資を受けやすい、低金利、無担保・無保証の制度があるなど、多くのメリットがあります

一方で、融資実行までに時間がかかる、自己資金の証明が重要であるといった注意点もあります

ご自身の事業計画や資金計画に合わせて、公庫融資と制度融資のどちらが適しているかを検討することが、成功への第一歩となります。
また、融資の審査を通過するためには、説得力のある事業計画書を作成し、自己資金の出所を明確にすることが不可欠です。

名古屋起業スタートビジョンラボでは、創業したての方向けに、日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。
気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。

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