会社員からの独立起業!「採算」の考え方とは
こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。
長年勤めた会社を辞め、経験と人脈を活かして独立することは、多くの人にとって夢です。
特に、「独立したら、そのまま発注するよ」という会社員時代の取引先の甘い言葉は、大きな安心感を与えてくれます。
しかし、その言葉の裏に「採算の落とし穴」があることをご存知でしょうか?
先日、創業融資のご相談で「取引先がクライアントになってくれる」というお客様に、私が「その仕事は、ご自身の会社で請け負っても採算が取れますか?」と尋ねると、お客様は一瞬「えっ…」と答えに詰まってしまいました。
この一瞬にこそ、会社員時代と独立後の決定的な違いが見える瞬間です。
この記事では、会社員から独立する方が見落としがちな「採算」の考え方と、失敗しない事業計画の立て方を、専門家の視点から解説します。
これから会社設立をお考えの皆様にとって、非常に参考になる内容です。どうぞ最後までお付き合いください!
独立後の決定的な違い:給与の裏側に隠された「真のコスト」
会社員として働く際、私たちは「給与」を受け取りますが、その裏側には、会社が負担している様々な「見えないコスト」が存在します。
独立すると、そのすべてがあなたの事業の負担となります。
会社員時代に「売上〇〇万円」と言っていた数字は、あくまで会社の売上の一部であり、そこから様々な経費が差し引かれた後に初めて利益となることを忘れてはいけません。
特に重くのしかかる「目に見えないコスト」
これらの「目に見えないコスト」こそが、取引先の「採算が合う」という甘い言葉の裏側に隠された、最大の落とし穴です。
「採算」をとるための具体的な計算方法
独立後に事業として成立させるために、どのようにして「採算」を計算し、最低限必要な売上目標を設定すれば良いのでしょうか?
ステップ1:事業に必要な「経費(支出)」を洗い出す
まず、事業を運営し、かつあなたの生活を維持するために必要な月額経費をすべてリストアップし、合計を出します。
これが、事業が毎月最低限稼がなければならない金額の目安となります。
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人件費: 代表者(あなた自身)の生活費・報酬、将来的な従業員の給与
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固定経費: 家賃、光熱費、通信費、保険料など
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税金・保険料: 国民健康保険料、国民年金保険料、事業税など
ステップ2:間接業務を考慮した「時給(時間単価)」を計算する
次に、提供するサービスに見合った時間単価を設定します。
会社員時代の単純な時給計算(例:2,500円)は、独立後には通用しません。
なぜなら、売上を生まない営業、経理、総務といった間接業務もすべて自分で対応しなければならないからです。
あなたが専門スキルを発揮できる「実働時間」に対し、管理業務にかかる時間コストを上乗せして、時間あたりの単価を決める必要があります。
ステップ3:目標達成に必要な「案件数」を設定する
経費を賄うために必要な売上を、具体的な案件数に落とし込みます。
例:ウェブデザイナーとして独立する場合
この「毎月最低3件」という数字が、あなたの行動目標となります。
目標設定には一概に正解があるわけではないので、この数字が実現可能かどうか、個々の状況に応じて冷静に判断し、実現可能な目標を定める必要があります。
事業計画に「採算の考え方」を落とし込む
この論理的な「採算」の考え方を事業計画に盛り込むことで、あなたの事業が「計画的で実現可能性が高い」という印象を築くことができます。
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売上計画: 会社員時代の取引先からの見込みに加え、新規顧客の獲得目標を具体的な数字と根拠で記載しましょう。
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経費計画: 経費項目を詳細にリストアップし、それぞれの金額を明確に記載してください。「その他経費一式」のような曖昧な書き方は避け、資金計画の透明性を高めましょう。
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資金の使い道: 資金を何に、いくら使うか、具体的な項目に分けて明記することで、事業資金計画の透明性が高まります。
まとめ
会社員からの独立は、大きな挑戦であり、同時に大きなチャンスです。
しかし、会社員時代の経験や人脈だけに頼って事業を始めると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。
大切なのは、これから開始する事業が「本当に採算がとれるのか」を冷静に計算することです。
見えないコストを可視化し、具体的な売上目標とそれに必要な行動を明確にすることで、あなたの事業はより成功に近づきます。
私たち名古屋起業スタートビジョンラボは、事業のアイデアを具体的な数字に落とし込み、独立後も継続的に利益を出すための事業計画作成をサポートしています。
もし、開業資金や運転資金の資金繰りに不安がある場合は、創業融資という国の支援制度を活用できる可能性がありますので、ぜひお気軽にご相談ください。