介護事業で黒字化するための資金計画!収入と支出の徹底解説


 

こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。

「介護事業は儲からない」「慢性的に赤字の事業所が多い」

みなさんは、このような話を耳にしたことはありませんか?

 

社会貢献性が非常に高い一方で、介護事業の経営は決して簡単ではありません。

しかし、多くの事業所が経営に苦しむ根本的な原因は、事業のお金の流れ(収入と支出)を正確に把握し、コントロールできていないことにあります。

 

実は、この記事を執筆するきっかけも、前回のコラムをお読みいただいた介護事業経営者の方から「収入と支出に特化した具体的なお金の話を聞きたい」というご要望からでした。

この記事では、介護事業所の具体的な収入と支出の項目から、開業後の資金計画で失敗しないためのポイント、そして安定した黒字経営を実現するための秘訣まで、専門家の視点から徹底解説します。

この記事を読めば、あなたは介護事業を安定的に経営するための、より具体的なお金の知識を身につけることができるでしょう。


 

【第一部】なぜ介護事業は「儲からない」と言われるのか?(原因分析)

 

まず、介護事業特有のお金の流れと、経営を圧迫する構造的な課題を理解しましょう。

 

収入の部:大部分は「介護報酬」

介護事業所の主な収入は、利用者様へのサービス提供の対価である介護報酬です。

これは通常、9割が国民健康保険団体連合会(国保連)から、残りの1割が利用者様から支払われます。 また、収益性を高める鍵となるのが「加算」です。

職員の処遇改善や専門的なサービスを提供することで基本報酬に上乗せされるため、積極的に取得することが重要です。

 

支出の部:6〜7割を占める「人件費」

支出で最も大きな割合を占めるのが人件費で、売上高の60〜70%に達することも珍しくありません

介護は労働集約型のビジネスであるため、この人件費の管理が経営の最重要課題となります。

 

経営を圧迫する3つの「構造的課題」

  1. 人件費の負担が大きい: 質の高い人材を確保・定着させるための人件費が、常に経営を圧迫します。

  2. 入金サイクルが遅い: サービス提供から介護報酬の入金まで約2ヶ月のタイムラグがあります。この間、人件費などの支払いは先に発生するため、資金繰りが非常に難しくなります。

  3. 利用者数の確保が難しい: 開業直後や、競合の出現によって利用者数が減少すると、売上が立たない状況でも固定費の支払いは続くため、赤字に陥りやすくなります。

 


 

【第二部】赤字経営に陥らないための「守り」の資金計画

 

原因を理解した上で、次に対策を考えます。まずは、会社を倒産させないための、最も重要な「守り」の資金計画です

 

守りの要①:自社の体力を知る「損益分岐点」

経営において最も重要な指標が、赤字と黒字の境目である損益分岐点です。

損益分岐点 = 固定費 ÷(1 - 変動費率)

この計算により、「何人の利用者様が必要で、いくらの売上があれば赤字にならないか」が明確になります。

常にこの数字を意識することが、安定経営の第一歩です。

 

守りの要②:黒字倒産を避ける「キャッシュフロー管理」

介護事業で最も警戒すべきリスクが、利益は出ているのに現金が不足する黒字倒産です。

これを防ぐためには、以下の2点が不可欠です。

  • 十分な運転資金の確保: 開業時の創業融資で、最低でも2~3ヶ月分、理想は6ヶ月分の運転資金を確保しましょう。これが最大の安全策です。

  • 資金繰り表の作成: 毎月の入金・支払予定を一覧にし、現金の流れを常に可視化することで、資金ショートの危険を早期に察知できます。

 

守りの要③:返済不要の資金「補助金・助成金」を継続的に活用する

事業の安定性を高めるために、返済不要の補助金・助成金を積極的に活用しましょう。

特に人件費や教育費を支援する制度は、介護事業の大きな助けとなります。

  • キャリアアップ助成金: 非正規職員を正規雇用に転換した場合に活用。

  • 介護職員処遇改善加算: 職員の賃金改善を行うことで報酬に加算。

  • 介護テクノロジー導入支援事業: 介護ロボットやICT機器の導入費用を補助。

 


 

【第三部】安定した黒字を目指す「攻め」の経営手法

 

強固な守りを固めた上で、次に安定した黒字経営を目指すための「攻め」の戦略を見ていきましょう。

 

攻めの一手①:売上を最大化する「収益の多角化」

介護報酬に依存するだけでは、収益の伸びには限界があります。

  • 「加算」の戦略的取得: 個別機能訓練などの基本的な加算に加え、闇雲にではなく、より専門性の高い加算を戦略的に取得し、他社との差別化を図ります。
    例えば、データを活用する「科学的介護推進体制加算(LIFE加算)」や、地域連携を深める「入退院時連携加算」などは、収益性と専門性の両方を高める有効な一手です。

  • 介護保険外サービスの提供: 送迎の有料化、買い物代行、自費での居宅サービスなど、保険適用外のサービスを開発し、新たな収益源を確保します。

 

攻めの一手②:利益率を改善する「コストの最適化」

支出の大部分を占める人件費を、単に削るのではなく「効率化」することで、利益の出やすい体質へと改善します。

  • ICT導入による業務効率化: 介護ソフトや見守りセンサーを導入し、事務作業や見守り業務の負担を軽減します。
    これにより、職員がより質の高い介護サービス(=加算の取得)に専念できる環境を作ります。

  • 人員配置と定着率の改善: 利用者数に応じた最適なシフト管理と、職員が働きやすい環境整備によって離職率を下げ、採用・研修コストを削減します。

 


 

まとめ

 

介護事業の経営は、決して楽な道ではありません。

しかし、本記事で解説した「守り」の資金計画で足元を固め、「攻め」の経営手法で利益を追求する。この両輪を的確に回すことで、安定した黒字経営は十分に可能です。

とはいえ、構造的に利益を出しにくい業種のため、常に資金管理を徹底することが事業継続の生命線となります。

 

名古屋起業スタートビジョンラボでは、介護事業に特化した資金計画のサポートも行っております。少しでも気になった方は是非、お気軽にご連絡下さい。

 

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