【経営者必見】連帯保証人は住宅ローンが組めない?
2023年4月の改正で激変した「連帯保証人」事情
こんにちは!起業スタートビジョンラボです。
突然ですが、経営者の皆様からいただくご相談の中に、切実な「マイホーム」に関する悩みがあります。
先日も、このようなご相談を頂戴しました。
「現在、会社の融資において、債務者が会社、連帯保証人に代表の私(経営者保証)と息子(役員)が入っています。
数千万円もの保証債務がある私や後継者である息子は、新たに住宅ローンを組むことは不可能でしょうか?」
結論から申し上げますと、昔とは状況が全く違います。
今は制度の後押しがあり、住宅ローンも組みやすくなっています。
かつては「会社の借金=連帯保証人の借金」と見なされ、金融機関から難しい顔をされる事が当たり前でした。
しかし現在、国(金融庁)によるルール改正があり、その常識が覆りつつあります。
今回は、「経営者保証を巡る金融庁の動き」と「住宅ローン審査への影響」について解説します。
1. 「とりあえず保証人」が許されなくなった歴史的背景
会社債務の連帯保証人に関しては、従来、「代表者=会社」と同一視されており、ごく当たり前のように代表者が連帯保証人として徴求される時代がつい最近までありました。
そこにメスを入れたのが、2014年2月に策定された「経営者保証に関するガイドライン(経営者の個人保証を求めないようにしようという指針)」です。
連帯保証人とは、借入はしていないのに債務者(お金を借りた人)と同じように返済履行義務を負うという、かなり責任の重いものです。
(そのため、小さいころ親から「絶対に連帯保証人にはなるな!」と言われて育った方も多いでしょう)
しかし、当ラボの職員が金融機関に在籍していた当時、このガイドラインはあくまで「努力義務」レベルのものでした。
罰則も強力な強制力もなかったため、現場では「ガイドラインはありますが、慣例ですので…」と、半ば自動的に経営者のハンコ(連帯保証)を求めており、実質的には「有名無実」だったのが実情です。
流れが決定的になったのは、2023年4月の「監督指針改正」です。
ここで金融庁は民間金融機関に対し、ガイドラインの遵守を「実質的に義務化」しました。
具体的には、金融機関に以下の「説明・記録義務」を課したのです。
もし銀行が経営者に連帯保証を求める場合、
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「なぜ保証人が必要なのか?」
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「会社の資産や収益力を見て、どうしても保証を外せない理由は何か?」
これらを経営者に具体的かつ客観的に説明し、さらに「その内容を書面等で記録すること」が必須となりました。
これは裏を返せば、「明確な理由を説明・記録できなければ、原則として保証を要求してはならない」という非常に重い縛りです。
これにより、銀行は「とりあえず慣例で」という安易な対応ができなくなり、本腰を入れて「保証人なし」の融資に取り組まざるを得なくなりました。
その結果、現在では既存融資を含めた全体の7割近くで、経営者の連帯保証を求めないケースが進んでいます。
2. 後継者のマイホームも「無理」ではなくなった
この「2023年改革」の恩恵を最も受けているのが、「事業承継予定の後継者(息子さんなど)」です。
よくあるのが、こんなケースです。
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父親が社長、息子が役員。
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息子はまだ経営権を持っていないが、会社の借金の「連帯保証人」にはなっている。
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結婚や出産を機に、新築の家を建てたい。
【昔(2014年頃〜改正前)の審査】
「息子さんにも数千万円の保証債務がありますね。保証債務の履行の可能性を考えると、住宅ローンは厳しいですね」 という対応が一般的でした。
どんなに優良企業でも、連帯保証人である以上、個人の借金とみなされていたのです。
【今(2023年4月以降)の審査】
金融機関には「客観的な理由なく保証人を求めてはいけない」というプレッシャーがかかっています。
会社の実態さえ良ければ、銀行は柔軟な対応を見せます。
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「この会社の業績なら、息子さんの保証は不要ですね」と、会社の連帯保証から外す(脱退させる)。
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住宅ローンの審査において、会社の保証債務を「実質的な借金ではない」と見なし、計算から除外する(※ただし、これはかなりハードルの高いレアケースです)。
以前では考えられなかったことですが、現在は「後継者の生活基盤(住宅)確保の阻害要因になってはいけない」という国の意思も働き、保証解除や審査の緩和にかなり前向きになっています。
3. 後継者の住宅ローンを通すための「必須条件」
では、すでに連帯保証人になっている後継者(息子さん等)が、住宅ローン審査を通すためには何が必要なのでしょうか?
個人の年収や勤続年数が足りていても、「会社の状態」が悪ければ、保証債務が足かせとなって審査は通りません。
銀行が、「この会社なら息子さんの保証は外してもいい(または、この保証債務は住宅ローン審査でノーカウントにしていい)」と判断するためには、会社自体が以下の状態であることが必須条件となります。
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① 会社が「黒字」であり、自力で返済できていること
銀行が息子さんの住宅ローンを通すためには、「会社が万が一の時、息子さんが借金を肩代わりするリスクは極めて低い」という筋書きが必要です。
そのためには、直近の決算書(できれば2期以上)が黒字であり、会社自身の稼ぎで返済が滞りなく行われている実績が求められます。
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② 会社と個人の財布が混ざっていないこと(公私混同なし)
ここが一番の落とし穴です。
もし決算書に「役員貸付金(社長や役員への貸付)」や「使途不明な仮払金」がある場合、銀行はこう判断します。
- 「会社のお金が個人に流れている=法人と個人が一体化している」
- 「したがって、個人(連帯保証人)の責任は外せない」
こうなると、保証を外すことも、審査で例外扱いすることも不可能になります。
住宅ローンを通す場合はこれらの科目を解消し、きれいな決算書にしておくことが絶対条件です。
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③ 銀行に対して情報を隠していないこと
試算表や決算書をタイムリーに提出していることも重要です。
「会社の状況がガラス張りだからこそ、リスクがないと判断できる」という信頼関係が、息子さんの審査を有利に進める材料になります。
【結論】
後継者個人の属性(年収など)だけでなく、「会社の決算書がキレイかどうか」が、マイホームの夢を叶えるための最大のカギを握っています。
まとめ:諦める前に「銀行との対話」を
「経営者保証があるからローンが組めない」というのは、2023年改正以前の話になりつつあります。
これから家を買いたい後継者の方は、まずは自社のメインバンクに「2023年の監督指針改正を踏まえ、住宅ローンを組むために連帯保証の解除を検討してほしい」と相談してみてください。
こればかりは業績次第という回答になるかもしれませんが、意外なほどスムーズに話が進む可能性があります。
また、これから事業融資を受ける方は「経営者保証なし」で借りられる制度を選び、個人の信用情報を守る意識を持つのも良いでしょう。
しっかりとした経営実態があれば、銀行は経営者の「豊かな暮らし」も応援してくれます。
マイホーム購入をお考えの経営者様は、物件探しの前に、まずは自社の決算書と保証状況の確認から始めてみてはいかがでしょうか?
【自社の「銀行評価」気になりませんか?】
「ウチの会社の決算書で、保証解除の交渉はできるだろうか?」
「住宅ローンを通すために、決算書をどう磨けばいい?」
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ起業スタートビジョンラボにご相談ください。
元金融機関職員の視点も含め、事業融資と個人の資産形成、両方の成功を全力でサポートいたします。

