【日本政策金融公庫の審査に通るためのポイント】
創業融資審査基準を徹底解説!
こんにちは!起業スタートビジョンラボです。
「日本政策金融公庫の創業融資って、どうやったら通るんだろう…?」
起業を志す多くの方が、このような不安や疑問を抱えているのではないでしょうか。
特に、初めての資金調達では、どこから手をつけていいか分からず、審査に通るかどうかが大きな壁に感じられるかもしれません。
この記事では、日本政策金融公庫の最新の創業融資制度である「新規開業・スタートアップ支援資金」を中心に、審査に通るための具体的なポイントを徹底的に解説していきます。
この記事を読めば、日本政策金融公庫の最新の審査基準や、融資担当者がどこを見ているのかが明確に理解できます。
また、審査通過のために何を準備し、どのようにアピールすれば良いのか、具体的な対策も分かります。
日本政策金融公庫の創業融資審査に不安を感じているあなたは、ぜひ最後までじっくりお読みください!
日本政策金融公庫とは?創業融資の基本を理解しよう
日本政策金融公庫は、政府が100%出資する政策金融機関であり、民間の金融機関では資金調達が難しい中小企業や個人事業主を支援することを目的としています。
特に、創業期の企業への融資に積極的で、多くの起業家が最初に検討する資金調達先の一つです。
日本政策金融公庫の創業融資が選ばれる理由
日本政策金融公庫の創業融資が多くの起業家に選ばれるのには、いくつかの理由があります。
まず、無担保・無保証で利用できる制度が拡充されている点が挙げられます。これは、創業間もない企業にとっては非常に大きなメリットです。
また、比較的低金利で融資を受けられることや、融資限度額が大幅に拡大されたことも魅力です。
一般的な銀行融資と比べて、審査の柔軟性が高く、創業の実績がなくても事業計画の将来性や経営者の熱意を評価してもらいやすい傾向にあります。
最新の創業融資制度「新規開業・スタートアップ支援資金」とは?
以前の「新創業融資制度」は2024年3月をもって廃止され、現在は「新規開業資金」が実質的にリニューアルされた「新規開業・スタートアップ支援資金」が、創業期の主な融資制度となっています。
この「新規開業・スタートアップ支援資金」の大きな変更点とメリットは以下の通りです。
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自己資金要件の原則撤廃: 以前は融資希望額の1/10程度の自己資金が原則必要でしたが、これが不要となりました。
ただし、後述しますが、自己資金があることは審査上プラスに働くため、準備することをおすすめします。 -
無担保・無保証人の原則維持: 創業者の方は引き続き、無担保・無保証人で融資を利用できます。
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融資限度額の大幅拡充: 以前の3,000万円(運転資金1,500万円)から、7,200万円(運転資金4,800万円)へと大幅に引き上げられました。
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返済期間・据置期間の延長: 設備資金20年以内、運転資金10年以内(据置期間5年以内)と、以前より長期での返済が可能になりました。
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金利の優遇: 通常より0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)低い金利が適用される場合があります。
この新制度は、スタートアップ企業を含む新規開業者に対して、より手厚い支援を行うことを目的としています。
日本政策金融公庫の創業融資審査基準とは?
日本政策金融公庫の創業融資審査では、複数の観点から総合的に判断されます。
大きく分けて、「経営者の資質」「事業計画の妥当性」「自己資金の状況」の3点が特に重要視されることに変わりはありません。
① 経営者の資質:あなたの熱意と経験が問われる
融資担当者がまず注目するのは、事業を成功に導くための経営者の資質です。
これは、過去の経験、事業への熱意、そして人間性といった多岐にわたる要素から判断されます。
創業動機と経営経験の有無
なぜこの事業を始めたいのか、その動機が明確で具体的であることは非常に重要です。
単に「儲かりそうだから」という漠然とした理由ではなく、ご自身の経験やスキルがどのように事業に活かされるのか、そして社会にどのような価値を提供したいのかを熱く語ることが求められます。
例えば、以前ご相談に来られた飲食店を開業されたK様は、長年の修行経験で培ったスキルと、地域の人々に本当に美味しい料理を提供したいという強い思いを力説し、融資担当者から高い評価を得ていました。
また、その事業に関連する職務経験があるかどうかも重視されます。経験がある場合、その経験を通じて得た知識やスキルが事業成功にどのように貢献するのかを具体的に示すことが大切です。
信用情報と自己資金の形成過程
個人の信用情報、つまり過去のクレジットカードの支払い状況やローンの返済状況なども審査の対象となります。
延滞や滞納がないか、自己破産の履歴がないかなど、健全な金融取引を行ってきた実績は、融資担当者にとって信頼の証となります。
また、自己資金の要件は原則撤廃されましたが、自己資金があることは依然として審査において有利に働きます。
自己資金は、事業への本気度を示す重要な指標の一つです。
なぜなら、コツコツと貯めてきた自己資金は、それだけ事業に対する真剣な覚悟と計画性があると見なされるからです。
友人や家族からの借り入れは自己資金と見なされないことが多く、その場合は「みせかけの自己資金」と判断されてしまう可能性がありますので注意が必要です。
具体的には、預金通帳で定期的に積み立てている履歴があるかなどを確認されます。
② 事業計画の妥当性:収益性と将来性を示す設計図
次に重要なのが、作成した事業計画書が現実的で、かつ収益性や将来性があるかどうかという点です。
融資担当者は、この事業計画書を通じて、事業が本当に成功する見込みがあるのか、融資した資金がきちんと返済されるのかを判断します。
事業内容と市場分析の具体性
どんな商品を、誰に、どのように提供するのか、事業内容を具体的に記述する必要があります。
ターゲット顧客は誰で、その顧客が抱える課題をどのように解決するのかを明確に示してください。
さらに、市場分析も不可欠です。
①他社比較において自社の強み(差別化ポイント)は何なのか、②市場規模はどのくらいで、③今後どのように成長していくのかといった点を具体的に分析し、数字を交えて説明することが求められます。
例えば、「この地域では〇〇というニーズがまだ満たされておらず、当社のサービスがそれを補完できる」といった具体的な根拠を示すと良いでしょう。
資金計画と収支計画の実現可能性
融資担当者が特に厳しく見るのが、資金計画と収支計画の実現可能性です。
融資を受けたい金額の根拠、その資金を何に使うのか(設備資金、運転資金の内訳など)を明確にしてください。
そして、最も重要なのが収支計画、つまり「どれくらいの売上が見込めて、どれくらいの利益が出るのか」という点です。
売上予測は、単なる希望的観測ではなく、具体的な根拠(例:市場調査の結果、ターゲット顧客数、単価、販売チャネルなど)に基づいて算出されている必要があります。
また、費用の内訳(人件費、家賃、仕入れ費用など)も詳細に計算し、無理のない計画であることを示しましょう。
以前サポートしたF社は、売上予測の根拠が曖昧だったため一度は融資を断られそうになりましたが、再度詳細な市場調査を行い、具体的な顧客獲得戦略を盛り込んだことで、無事に融資を受けることができました。
事業性評価の重要性:収益性と持続的成長の視点
日本政策金融公庫は、担保や保証といった形式的な評価だけでなく、事業の本質的な価値、つまり「将来性」「成長性」「社会貢献性」といった定性的な要素を評価する「事業性評価」を非常に重視しています。
あなたの事業が、社会のどんな課題を解決し、どんな新しい価値を生み出すのか。
そして、それがどのように持続的な利益につながっていくのかを、融資担当者に熱意をもって伝えることが、審査通過の大きな鍵となります。
ここで一つ重要な点を忘れないでください。個人の意思や熱意、社会的公益性といった事業への「思い」は非常に大切です。
しかし、事業として始めるということは、毎期、売上と利益をしっかり追求していく必要があるということです。
そして、企業が成長していくためには、継続的に利益を生み出せる強固な事業構造であることが不可欠です。
融資担当者は、あなたの事業の「思い」だけでなく、この事業としての収益性や成長性、将来的な返済能力もしっかりと見極めていることを認識しておきましょう。
審査通過のための具体的な準備と対策
日本政策金融公庫の創業融資審査を通過するためには、事前準備が非常に重要です。以下のポイントをしっかり押さえて、万全の体制で臨みましょう。
質の高い事業計画書の作成
事業計画書は、あなたの事業の「顔」とも言える重要な書類です。融資担当者は、事業計画書を通じてあなたの事業を理解し、評価します。
読み手の目線に立った構成と内容
事業計画書は、読み手である融資担当者が理解しやすいように、論理的かつ分かりやすく構成されている必要があります。
専門用語を避け、具体的な事例や数字を交えて説明するように心がけましょう。←これが出来ていない書類は非常に多いです。
また、SWOT分析(Strength:強み、Weakness:弱み、Opportunity:機会、Threat:脅威)などを用いて、客観的な視点から事業を分析し、リスクに対する認識と対策も明確に記述することが信頼につながります。
数字の根拠を明確にする重要性
収支計画における売上や費用の数字は、必ず具体的な根拠に基づいて算出してください。
例えば、「売上目標は月に〇〇万円です」と漠然と書くのではなく、「ターゲット顧客〇〇人に対し、平均単価〇〇円の商品を月に〇〇個販売することで、月〇〇万円の売上を達成します。
これは、過去の市場調査結果や競合他社の実績から実現可能と判断しました」といったように、具体的な裏付けを示すことが求められます。
根拠のない数字は、融資担当者に不信感を与えてしまう可能性があります。
面談対策:熱意と準備が明暗を分ける
事業計画書を提出した後には、融資担当者との面談が実施されます。この面談は、あなたの熱意や事業への理解度を直接アピールできる貴重な機会です。
質問への的確な回答と事業への理解度
面談では、事業計画書の内容について深掘りされる質問が多くなります。例えば、「なぜこの事業を始めたいのですか?」「競合他社との差別化ポイントは何ですか?」「もし計画通りにいかなかった場合、どうしますか?」といった質問が予想されます。
これらの質問に対し、事前にシミュレーションを行い、的確かつ具体的に回答できるように準備しておきましょう。
また、数字の根拠なども含め、ご自身の事業について深く理解していることを示すことが重要です。
積極的なコミュニケーションと税理士の同席
面談は、融資担当者との信頼関係を築く場でもあります。質問に対しては正直に答え、分からないことは素直に尋ねる姿勢も大切です。
可能であれば、税理士の同席をおすすめします。
税理士は、事業計画書の作成支援だけでなく、面談の場でも専門的な視点から補足説明を行うことができます。
特に、資金計画や収支計画といった専門的な部分で、税理士が同席することで、より詳細な説明が可能となり、融資担当者に安心感を与えることができます。
以前、融資面談に同席した際、お客様が説明に詰まった部分を補足説明したことで、スムーズに面談が進み、無事に融資が決まった事例もございます。
税理士に相談するメリット
創業融資の申請は、多くの書類作成や準備が必要となり、専門的な知識も求められます。
そのため、税理士に相談することは、審査通過の可能性を大きく高めることにつながります。
専門家による事業計画書作成支援
税理士は、数多くの事業計画書作成に携わっているため、融資担当者がどのような点を重視しているか、どのような書き方をすれば評価されやすいかを熟知しています。
あなたの事業内容をヒアリングし、説得力のある事業計画書を作成するための具体的なアドバイスを提供できます。
特に、初めて事業計画書を作成する方にとっては、税理士のサポートは非常に心強いでしょう。
面談対策や金融機関との橋渡し
税理士は、融資面談で想定される質問に対する対策を一緒に考え、リハーサルを行うことも可能です。
これにより、本番での自信と落ち着きにつながります。
また、金融機関とのやり取りをスムーズに進めるための橋渡し役としても機能します。
税理士が間に入ることで、不明点の確認や書類の不備解消などが効率的に行え、融資申請プロセス全体を円滑に進めることができます。
創業融資の成功事例と失敗事例から学ぶ
実際に創業融資を受けた方々の事例から、成功の秘訣と失敗を避けるための教訓を学びましょう。
成功事例:準備と熱意が実を結ぶ
名古屋市でリサイクルショップを開業したH様の事例です。H様は、以前から古物商の経験があり、特定の商品ジャンルに特化することで差別化を図ろうと計画していました。
開業に向けては、綿密な市場調査を行い、①ターゲット層の購買傾向、②競合店の価格設定、③仕入れルートの確保、そして④オンライン販売との連携戦略まで、徹底した準備を進めました。
事業計画書は、具体的な売上予測の根拠や、開業後の集客戦略、そして収益が見込めるまでのキャッシュフロー計画まで、非常に詳細に記述されていました。
特に、仕入れから販売までの具体的なフローと、それに伴う資金繰りの見込みが明確だった点が評価されました。
面談では、リサイクルビジネスに対する強い情熱と、万が一の事態に備えたリスク対策も明確に説明できたため、融資担当者から高い評価を受け、希望額の融資を獲得することができました。
この事例からわかるのは、事前の徹底した準備と、事業に対する経営者の揺るぎない熱意が、自己資金要件が撤廃されてもなお、融資成功の鍵となるということです。
失敗事例:安易な計画と準備不足の結果
一方、失敗事例として、学習塾での創業を計画していたS様のケースをご紹介いたします。
S様は、自己資金要件が撤廃されたことで自己資金をほとんど用意せず、事業計画書もインターネット上のテンプレートをそのまま使用し、具体的な数字の根拠が曖昧な状態でした。
特に、ターゲット生徒数の設定が漠然としており、競合塾との差別化も「親切な指導」といった抽象的な表現に留まり、初期投資としてのテナント費用や教材費、人件費の見積もりが甘く、収支計画も希望的な予測に頼っていました。
公庫前面談でも、生徒獲得戦略や、少子化の中での競争力維持について具体的な説明ができず、売上予測の根拠も「今までの経験からこれくらいは生徒が集まると思う」といった明確な根拠を提示できない回答しかできませんでした。
結果として、事業への本気度や計画性に対する疑問を持たれる可能性が高いことから、再度事業計画と数字に関する根拠を練り直すことになりました。
この事例は、自己資金要件が撤廃されたとはいえ、自己資金の重要性、そして具体的な根拠に基づいた事業計画書の作成がいかに重要であるかを教えてくれます。
安易な計画や準備不足では、融資担当者の信頼を得ることはできません。
まとめ
日本政策金融公庫の創業融資審査を乗り越えるためには、最新の「新規開業・スタートアップ支援資金」制度を理解し、
経営者自身の資質、事業計画の妥当性、そして自己資金(要件は撤廃されたが重要性は高い)の状況が重要であることをご理解いただけたでしょうか。
質の高い事業計画書の作成、面談での的確な受け答え、そして何よりも事業に対する熱意と準備が、審査通過への道を切り開きます。
そして、事業への「思い」と同じくらい、事業としてしっかりと利益を出し、成長していく計画を具体的に示すことが、融資担当者の信頼を得る上で不可欠です。
もし、創業融資の申請に不安を感じているのであれば、私たち税理士のような専門家を頼ることも一つの有効な手段です。
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