【実践編】あといくら経費を使える? 評価を落とさない「決算着地」のシミュレーション術
こんにちは、起業スタートビジョンラボです。
3月も後半に入り、決算の数字がほぼ固まってきた企業様も多いのではないでしょうか。
この時期、多くの経営者様が直面するのが、「最終的な利益調整(決算着地)」の悩みです。
- 「予想より利益が出そうだから、来期予定していた修繕を前倒しでやるべきか」
- 「社員に決算賞与を出したいが、いくらまでなら大丈夫か」
こうした判断をする際、今までは「なんとなくの勘」や「税金の額」だけで決めてしまっていませんでしたか?
前回までにお話しした通り、安易に利益を削ることは銀行からの格付け評価に影響を与え、来期以降の「追加融資」や「銀行交渉」を不利にする可能性があります。
第7回目は、当事務所の「格付け診断ツール」を使って、「銀行評価を落とさないギリギリのライン(ボーダーライン)」を見極めるシミュレーション術をご紹介します。
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■ ツールを「実験場」として使う
この診断ツールの便利な点は、数字を何度書き換えてもタダ(無料)であるということです。
つまり、確定した決算書を作る前に、「もしこうしたら、結果はどうなる?」という実験がし放題なのです。
具体的な活用ステップをご紹介します。
1. まずは「現状(見込み)」を入力する
今のまま決算を迎えた場合の予想数字(売上、利益、借入金など)を入力し、診断ボタンを押します。
まずは、何もしない状態での「色」と「債務償還年数」を確認しましょう。
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例:「緑色(正常先ランク)」・償還年数 7年
2. 使いたい経費を反映させてみる
次に、検討している経費の分だけ、利益を減らして再入力してみます。
例えば、「300万円の修繕費を使いたい」なら、利益の入力欄から300万円引いて、もう一度診断ボタンを押します。
3. 「色」の変化をチェックする
ここで結果がどう変わるかを見ます。
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ケースA:まだ「緑色」のまま 償還年数が「9年」になったが、まだ10年以内(緑色)をキープしている。
→ 判定:GOサイン 「300万円使っても銀行評価は安全圏内だ」と判断でき、安心して経費を使えます。 -
ケースB:「オレンジ色」に変わってしまった 償還年数が「12年」に悪化し、色がオレンジ(要注意ランク)になった。
→ 判定:STOPまたは見直し 「300万円使うと評価ランクが落ちる。では、100万円に抑えたらどうなるか?」と再調整します。
■ 「逆算」で予算を決める
このようにシミュレーションを行うことで、 「あと◯◯万円までなら経費を使っても、銀行評価(緑色)を維持できる」 という「節税の限度額」が明確な数字として見えてきます。
これが分かっていれば 「税金を減らしたいからとにかく使う」という無計画な節税ではなく、 「銀行評価を守れる範囲内で、最大限の節税をする」という、極めて戦略的な着地が可能になります。
特に、今後「設備投資のための借入」や「運転資金の追加融資」を検討されている企業様にとって、この決算着地は死活問題です。
■ 感覚ではなく「数値」で経営判断を
「今の借金を返すのに何年かかるか(償還年数)」は、頭の中だけで計算するのは困難です。
しかし、ツールを使えば一瞬で可視化されます。
決算書は一度確定して税務署に提出してしまうと、もう修正は効きません。
「あと少し利益を残しておけば、正常先をキープできたのに……」と後悔しないためにも、ハンコを押す前にぜひ一度このシミュレーションを行ってみてください。
■ 次回予告:もし診断結果が「赤」だったら?
「シミュレーションしてみたけれど、どう計算しても『赤色』や『オレンジ色』になってしまう……」
そんな場合でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。
最終回となる次回は、診断結果が思わしくなかった企業様に向けて、決算書確定前に検討すべき「最後の対策」と、来期に向けた改善のヒントをお話しします。
3月の決算、最後まで気を抜かずに走り抜けましょう。
ご相談は、いつでも起業スタートビジョンラボまでお寄せください。

