「この人(創業者)は応援したい!」と本気で思う特徴

 

【税理士がこっそり教える】

融資担当者が「この人(創業者)は応援したい!」と本気で思う特徴とは?

 

こんにちは!起業スタートビジョンラボです。

さて、『税理士のホンネ』シリーズもいよいよ最終回です。

第1回で「年末の時期と焦り」、第2回で「NGな事業計画書」というテクニカルな話をしてきました。

「じゃあ、計画書さえ完璧なら、誰でも融資は通るのか?」 …答えは、もちろん「NO」です。

 

今回も日本政策金融公庫の事業融資申込を例にしていますが、今回のコラム内容は民間の金融機関(銀行や信用金庫)も同様です。

日本政策金融公庫の融資は、書類審査であると同時に、人物適正を見る「面談」があります。

結局、最後にお金を貸すかどうかを決めるのは、AIではなく「人間」です。

数多くの申請者に会う担当者が、書類の出来栄えを超えて「この人(創業者)は、なんだか応援したいな!」「この人になら貸したい!」と本気で思う創業者には、いくつかの“人間的”な特徴があります。

今日は、そんなテクニック論の先にある「人柄」や「姿勢」について、こっそりお話しします。

 

 

特徴1:「数字」に対して、圧倒的に“誠実”である

 

これは「数字に強い」こととは少し違います。

「数字に対して逃げない」姿勢のことです。

審査では、弱点(例:自己資金が少ない、過去に延滞がある等)を突かれることもあります。

  • NGな人:弱点を隠そうと嘘をつく。ごまかす。最悪な場合、逆ギレする。「昔のことじゃないですか!」「今更言われても…」

  • 応援したい人:弱点を認め、誠実に説明し、改善策を提示する。

 

【税理士のホンネ】

『自己資金、なぜこれしか貯められなかったんですか?』と聞かれた時、『うるさいな』『そんな面倒な事を聞いてくるな』という顔をする人は論外です。

融資担当者は勿論、私たちも『この人は事業で都合の悪いことが起きたら、おそらく逃げるだろうな』と感じます。

逆に、弱点を隠さず誠実に説明できる人は、こういう場合に下記の発言をされたことがあります(これは経験談です)。

  • 『お恥ずかしい限りですが、当時は認識が甘く…。しかし、この事業を本気でやると覚悟を決めてから、この〇年間は毎月〇万円を貯蓄してきました。
     まだまだ足りない事は百も承知ですが、事業に真摯に向き合っていると分かってもらえるよう、これからも行動で示していきます。』

こういう人には、担当者も人間誰しも失敗はある。この誠実さなら事業も真面目に取り組むだろうと、何とか支援できないかと考え始めてくれますし、私たちも何とか支援できないか奮起します。

 

特徴2:圧倒的な「レスポンス(返信)の速さ」

 

これは、私たちが日頃から最も強く感じていることかもしれません。

融資のやり取りでは、担当者や税理士から「追加でこの資料をお願いします」「この点の確認です」といった連絡が頻繁に入ります。

  • NGな人:返信が2〜3日後。電話に出ない。メールの返信が遅い。催促されてから動く。

  • 応援したい人:即日、遅くとも24時間以内に必ず何かしらの返信(「確認して明日(〇日)に回答します」など)をされる方。

 

【税理士のホンネ】

『あの資料、どうなりましたか?』と、こちらから催促しないと動かない人は...何とも言えません。

私たち専門家から見ても、『この人は事業運営もこのスピードなのか...』『このレスポンス速度でお客様への対応は大丈夫なのか?』と、不安になります。

だからこそ、レスポンスが驚くほど速い人は非常に好印象です

それだけで『この人は仕事ができる』『信頼できる』という印象が生まれます。

年末や年度末などの多忙な時期なら尚更です。「担当者を待たせない」という姿勢が信頼を生みます

 

特徴3:担当者への「リスペクト(敬意)」を忘れない

 

最後は、人としての基本ですが、最も重要なことです。

皆さんは融資担当者を「審査する側」と「審査される側」という、敵対的な関係だと思っていないでしょうか?

  • NGな人担当者を「お金を借りるための道具」のように扱う。タメ口。態度が横柄(全て論外です)

  • 応援したい人:基本的なビジネスマナー(挨拶、時間厳守、感謝)を徹底できる。

 

【税理士のホンネ】

ごく稀に、本当にごく稀にですが、初対面でタメ口で話したり、面談で足を組んだり、話している方の話を遮る等、担当者に対して横柄な態度を取ったりする人がいます。

そのような方は『お客は神様』と勘違いしているのかもしれません。が今はそんな時代ではありませんし、元々そんな時代もありません。

公庫の担当者も、私たち税理士も、あなたの事業を支援する『ビジネスパートナー』です。

仮に自分が公庫の担当者だったとしましょう。

基本的なビジネスマナーや、『忙しい中、時間を割いてくれてありがとう』という感謝の姿勢が感じられない相手に、大切な『公のお金』を、しかも低金利で貸したいと思うでしょうか?

答えは、もちろんNOです。少なくとも私なら絶対にNOです。

これは公庫だけでなく銀行や信用金庫も同じです。大切な預金者様のお金を態度が横柄な人物に貸したいと思う担当者はこの世に1人もいません。

計画書が多少荒くても誠実でレスが速く、謙虚な姿勢の人の方が、『この人なら、事業が苦しい時もちゃんと相談してくれそうだし、一緒に頑張れそうだ』と、よほど応援されるものです。

 

 

【ホンネの補足】なぜ担当者は、そこまで「人」を見るのか?

 

最後に、もう一つだけ「税理士のホンネ」をお伝えします。

「ビジネスは数字が全てじゃないか」「人柄で融資が決まるなんて、不公平だ」 もしかしたら、そう感じる方もいるかもしれません。

しかし、私たちが(そして公庫の担当者も)「人間性」や「誠実さ」をこれほどまでに重視するのには、極めてロジカルで、冷徹な理由があります。

 

【ホンネ】事業計画書(プラン)通りに経営が進むことなんて、120%あり得ないからです」

 

私たちは、融資の審査(スタート)の時点では、実はそこまで心配していません。誰だって最初はやる気に満ちていますから。

私たちが本当に見ているのは、「計画通りにいかなくなった時、この経営者はどう行動するだろうか?」という一点です。

  • 売上が計画の半分になった時、この人は「逃げずに」相談してくれるだろうか?

  • 資金繰りが苦しくなった時、この人は「誠実に」状況を報告してくれるだろうか?

  • 返済が厳しくなった時、この人は「レスポンス良く」対策を一緒に考えてくれるだろうか?

担当者が一番恐れているのは、事業が失敗することではありません。 「経営者が音信不通になり、状況が一切わからなくなること」です。

 

実際、過去に金融機関で融資(役席)を担当をしていた当事務所の職員も、

  • 「お金を持っているはずなのに、なぜか延滞を繰り返す(誠実さに欠ける)人」

  • 「延滞したり、事業の展望が暗くなった途端に一切連絡がつかなくなり、最終的に代位弁済(※保証協会が代わりに返済すること)に至ったケース」

を、嫌というほど見てきています。

 

どちらのケースも、事業の失敗以前に、経営者としての「誠実さ」や「困難に向き合う姿勢」が欠けていたことが根本的な原因です。

勿論、会社の業績が全く見通せず延滞気味になったり、誠実さや困難に立ち向かう姿勢を持っていても、どうしようもない状況に至り代位弁済となるケースも多々あります。

しかし、皆さんが面談で見せた「誠実さ」「レスポンスの速さ」「敬意」…。

それらはすべて、「この人なら、事業が苦境に陥っても、逃げずに一緒に戦ってくれるだろう」という信頼を測るための、重要な「先行指標(サイン)」なのです。

融資担当者は「完璧な計画書」に融資するわけではありません

計画が崩れた時に、それを乗り越えようと誠実に行動する「あなたという人間」に融資(投資)するのです。

 

 

まとめ

 

全3回にわたり、『税理士のホンネ』シリーズをお届けしました。

  • 第1回年末の「焦り」は禁物。公庫と民間の事情を知ろう。

  • 第2回:焦りが生む「NG事業計画書」を避けよう。

  • 第3回:最後は「人」。誠実さ・速さ・敬意が信頼を生む。

 

テクニックを磨き、完璧な事業計画書を作ることはもちろん重要です。

しかし、それ以上に「この人を応援したい」と思わせる“人間力”こそが、事業を長期的に支える最大の資産になるのかもしれません。

 

起業スタートビジョンラボでは、創業したての方向けに、日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。

 
 

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