【追加融資ガイド④】赤字でも諦めない!改善計画書の作り方

融資を引き出す「事業改善計画書」の具体的な作り方とは

こんにちは!起業スタートビジョンラボです。

前回の第3回では、「赤字決算=即NG」ではなく、金融機関(日本政策金融公庫や民間金融機関)は「赤字の質」を見ている、というお話をしました。

「前向きな赤字」は説明がしやすい一方、「後ろ向きな赤字(計画未達)」の場合は「事業改善計画書」の提示が不可欠である、とお伝えしました。

ですが、コラムをご覧になられた方の中にはこのように思われた方もお見えになるのではないかと思います。

  • 「事業改善計画書って、具体的に何を書けばいいの?」

  • 「ただ『頑張ります』と伝えればいいわけじゃないよね…」

  • 「赤字で苦しい今、どんな計画なら担当者が納得してくれるんだ…」

と、このように思うのも当然です。 事業改善計画書に「反省文」や「精神論」は必要ありません。

 

事業改善計画書は、金融機関の担当者という「投資家」に対して、

  • 「私は赤字の原因を特定し、こう行動して黒字化します。」

  • 「だから、その行動のための資金を貸してください。」

とロジカルに約束するための再起の契約書」です。

この記事では、赤字という厳しい状況から追加融資を引き出すための「事業改善計画書」の具体的な作り方、その3つの構成要素を解説します。

 

 

なぜ「事業改善計画書」が必要不可欠なのか?

まず、融資をする側の金融機関の心理を想像してみてください。 彼らが抱えているのは、「この資金が本当に会社の再建に役立つだろうか?」という懸念です。

もし、赤字の原因が解消されないまま資金だけを投入しても、それは一時的な「運転資金の補填」として消費され、根本的な解決には至らない可能性があります。

事業改善計画書」の最大の目的は、この懸念を「期待」に変えることです。

「赤字の原因はここにあると特定しました。だからこそ、今回のお金はこの課題を解決するために使い、黒字化への道筋を作ります」

このように、資金が単なる穴埋めではなく、「未来を変えるための投資」であることを論理的に示す資料、それが事業改善計画書なのです。

 

構成要素①:徹底した「赤字原因」の客観的分析

改善の第一歩は、冷静な「要因分析」から

改善計画のスタートラインは、前回の記事でも触れた「赤字原因の分析(PDCAのC=Check)」です。

ここで大切になるのが、「結果に至ったプロセスをどれだけ解像度高く振り返れるか」、という点です。

◆ 改善の余地がある分析(外部要因のみ)

  • 「コロナ禍の影響が長引いて…」
  • 「円安で仕入価格が高騰して…」
  • 「営業の頑張りが足りませんでした…」

これらは間違いなく事実ですが、金融機関から見ると「状況報告(感想)」に留まってしまい、「では、社内でどう対策するのか?」が見えにくいという難点があります。

◆ 評価される分析(内部要因の特定) 外部環境だけでなく、「自社の行動」に焦点を当てて深掘りしてみましょう。

ケース1:売上の未達

  • (事実) 売上高が計画比20%未達だった。
  • (分析) 原因は、新規顧客の獲得数が計画の半分に留まったため。

(深掘り) 特に、広告費を集中投下したSNS広告(A)からの流入がほぼゼロで、媒体選定とターゲット設定のズレが主な要因でした。

ケース2:利益率の悪化

  • (事実) 原価率が計画の30%に対し、実績40%に悪化した。
  • (分析) 主要仕入先Bからの値上げ要請に対し、価格転嫁や仕入先変更といった対策が後手に回ってしまったことが原因です。

このように、「どの施策が数字に影響したか」「どのタイミングでの判断が結果を分けたか」を客観的に特定することが、実効性のある計画作りの第一歩となります。

 

構成要素②:具体的な「改善アクションプラン」

原因が特定できたら、次はいよいよ「では、どう変えていくか?」という解決策(PDCAのA=Action)の策定です。

ここでは、精神論ではなく、数字に直結する「具体的な一手」を示すことが重要です。

A) 「売上」をどう伸ばすか?(攻めの改善策)

金融機関が期待しているのは、「頑張って売ります」という意気込みに加え、その裏付けとなる「根拠あるシナリオ」です。

(例)リソースの「選択と集中」

  • (見直し) 分析の結果、費用対効果が低かったSNS広告(A)は一旦停止し、予算を見直します。
  • (集中) その分、過去に確実な反応があった「地域密着のポスティング(B)」へ予算を月〇万円シフトし、問い合わせ数を最大化させます。

(例)商品構成の「最適化」

  • (整理) 収益を圧迫していた低利益率の商品Cは取り扱いを縮小します。
  • (強化) 代わりに、高利益率かつ顧客満足度の高い「商品D」を主力に据え、セット提案を強化することで、客単価を現状の〇円から〇円へ引き上げます。

(例)既存顧客への「再アプローチ」

  • (施策) 新規開拓だけでなく、過去の顧客リスト〇〇名に対して、〇月から新サービス(E)の案内DMを送付します。これにより、リピート率の〇%改善を目指します。

 

B)「コスト(経費)」をどう削減するか?(コスト削減策)

コスト削減という見直し行動を実際に起こすことで、経営者として改善への本気度を示します。

(例)仕入・原価の見直し

  • (分析結果を受け)原価高騰の原因だった仕入先Bとの契約を見直し、〇月までに価格交渉(または仕入先変更)を完了させ、原価率を〇%引き下げる

(例)固定費の削減

  • (事実)使用頻度の低いサブスクリプション(SaaSツール)〇〇を即時解約し、月額〇万円を削減する
  • (事実)水道光熱費の契約プランを見直し、年間〇万円の削減を図る

(例)経営者自身のコミットメント

  • (本気度)事業が黒字転換するまでの間、経営者自身の役員報酬を月額〇万円カットし、返済原資に充てる

特に最後の「役員報酬のカット」は、金融機関に対して「経営者自身が身を切ってでも事業を立て直す」という、最も強い決意を示す材料の一つとなります。

 

構成要素③:「数値計画」への落とし込み

改善計画書で最も重要な部分です。

構成要素②で立てた「アクションプラン(行動)」が、「いつ(時期)」「いくら(金額)」の改善につながるのかを、具体的な「数値計画」に落とし込みます

改善後の「収支計画(損益計画)」

アクションプランを反映させた、新しい「収支計画書」を作成します。

  • (例)「行動計画A(仕入先変更)により、4月から原価率が3%改善し、月間〇万円の利益改善」
  • (例)「行動計画B(広告戦略変更)により、5月から新規顧客が月〇人増加し、月間売上が〇万円増加」

そして、これらの改善の結果、「何ヶ月後に『単月黒字化』を達成し、『累積赤字』をいつ解消できるのか」という、黒字転換へのロードマップを明確に数字で示します

 

追加融資を含めた「資金繰り表」

赤字企業にとって、損益(P/L)以上に重要なのが「資金繰り(キャッシュフロー)」です。

  • 「このままでは、〇月〇日に現金が尽きる(資金ショートする)」

という現実を直視した上で、「延命」と「復活」のシナリオを、資金繰り表で可視化します。

(例)「ここで追加融資〇〇万円が入金されれば、改善アクションを実行でき、黒字化する〇月まで資金は持ちます」等と示すと分かりやすいかと思います。

 

 

【最重要】「追加資金」を「改善アクション」に紐付ける

ここで、融資を申し込む際の「決定的なポイント」があります。

それは、「追加融資の資金使途(何に使うか)」です。

  • 絶対にNGな資金使途「赤字の補填」「運転資金の補填」

    • → これは「過去の失敗(赤字)の穴埋め」にお金を貸すことになり、担当者は「同じことの繰り返しになるのでは?」という不安を払拭できません。
    • → 上記のような資金使途は「赤字補填資金」もしくは「(売上)減少運転資金」みなされ、融資のハードルが一気に跳ね上がる事になります
  • OKな資金使途:「事業改善計画書のアクションプランを実行するため」

    • → 必ず、構成要素②で立てた「改善アクション」と、融資希望額を紐付けてください。

(良い説明例)

  1. 今回、追加融資として300万円が必要です。 これは、赤字の穴埋め(補填)のためではありません。

  2. この300万円は、下記の用途に使います。
    • 事業改善計画の柱である『新広告戦略(B)の実行費用』として100万円
    • 高利益率の新メニュー(D)開発のための『機材導入費用』として200万円
  1. この2つのアクションこそが、黒字化の鍵です

このように説明することで、融資が「過去の穴埋め(後ろ向き)」ではなく、「未来の黒字化(前向き)」のための投資である、と担当者に理解してもらうことが重要です。

 

赤字の時こそ「税理士」や「専門家」に相談すべき理由

とはいえ、赤字という厳しい状況の中、経営者一人の力でこれら(分析、計画書作成、資金繰り表作成)を完璧に行うのは、精神的にも技術的にも非常に困難です。

赤字で苦しい時こそ、税理士や専門家を頼ってください。

 

  • 客観的な「赤字原因」の分析

  経営者ご自身では「見たくない現実」や「気づきにくい問題点」も、税理士や専門家は決算書や試算表から客観的に分析し、特定します。

  「なぜ赤字なのか」を一緒に突き止めます。

  • 金融機関が納得する「資料」の作成

  赤字企業が追加融資を申し込むには、「資金繰り表」と「事業改善計画書」が不可欠です。

  専門家との伴走によって、担当者が「これなら再起できるかもしれない」と納得できるレベルの資料作成を、強力にサポートします。

  • 金融機関への「説明・交渉」のサポート

  作成した資料を基に、税理士や専門家が金融機関の担当者へ「赤字の理由」と「改善策」をロジカルに説明します。

  必要であれば面談にも同行し、経営者の「本気度」を強力にバックアップします。

 

まとめ

今回は、赤字決算から追加融資を引き出すための「事業改善計画書」の具体的な作り方について、3つの構成要素を解説しました。

  1. 客観的な「赤字原因」の分析:「なぜ」を深掘りし、数字で特定する。
  2. 具体的な「改善アクション」:「売上改善」と「コスト削減」の両面から、何を変えるのかを明記する。
  3. 「数値計画」への落とし込み:アクションが「いつ」「いくら」の改善につながるのかを、収支計画と資金繰り表で示す。

そして、追加融資の資金使途は「赤字の補填」ではなく、「改善アクションを実行するための前向きな投資」として説明することが鉄則です。

赤字という事実は変えられませんが、その赤字にどう向き合い、どう行動するかで、未来は変えられます。

 

次回、【追加融資ガイド⑤】では、この改善計画書を持って「どこに相談に行くべきか?」、「日本政策金融公庫」と「民間銀行(保証協会)」の使い分けについて解説します。

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