【追加融資ガイド②】審査は「1回目」と何が違う?

見られるポイントと「成果報告」の重要性

こんにちは!起業スタートビジョンラボです。

前回の第1回では、「無借金経営」の隠れたリスクと、事業拡大のスピードを上げる「賢い借入(レバレッジ)」の考え方、そして追加融資を申し込む「最適なタイミング(1年後の決算書など)」について解説しました。

「よし、タイミングは分かった。1期目の決算も黒字だったし、早速申し込んでみよう!」

そう意気込んでいる方は、少しだけ立ち止まってください。

もしかして、「1回目の創業融資と同じような準備で大丈夫だろう」と考えていませんか?

もしそうだとしたら、その考えは非常に危険です。

前回のコラムでも書きましたが、日本政策金融公庫などが行う追加融資(2回目)の審査は、1回目(創業時)の審査とは「全くの別物」です。

 

この記事では、追加融資の審査が1回目とどう違うのか、金融機関の担当者が「どこを」「どのように」見ているのか、その最重要ポイントを徹底解説します。

1回目との違いを知らないまま審査に臨み、「こんなはずじゃなかった…」と後悔したくない方は、ぜひ最後までじっくりお読みください!

 

 

決定的な違い:「未来(計画)」で審査された1回目、「過去(実績)」で審査される2回目

追加融資の審査における最大の違い。それは、審査の「土台」となるものが根本から異なる点です。

1回目(創業時)の審査とは?

創業融資(1回目)の審査を思い出してみてください。「まだ世に存在しない事業」について、担当者に説明しました。

  • 審査の土台:『事業計画書』・『創業計画書』

  • 見られたもの

    • 「事業経験」や「自己資金の履歴」

    • 「売上予測」の妥当性や根拠

    • 事業への「情熱」や「人間性」

これらはすべて、「未来」に対する期待値や、「計画」の実現可能性を評価するものでした。

極論すれば、「未来の夢」をいかにロジカルに語れるかの勝負だったと言えます。

 

2回目(追加融資)の審査とは?

一方、2回目となる追加融資の審査では、担当者がまず手に取るものが違います。

それは、「新しい事業計画書」ではなく、「過去1年間の経営実績」です。

  • 審査の土台:『決算書』・『試算表』・『返済実績』

  • 見られるもの

    • 1期目の決算内容は、黒字か赤字か?

    • 1回目の融資の返済は、遅延なく行われているか?

    • (そして最重要)1回目に貸したお金で、どれだけの成果を出したのか?

2回目の審査は、「未来の夢」について語ることが突破口になるとは言えません。

「過去の実績」という動かぬ証拠を基に、「この経営者に追加でお金を貸して、本当に大丈夫か?」を判断される、極めてシビアな「現実」の審査になります

 

 

【最重要】追加融資の面談で必ず聞かれる「成果報告」の準備

「1回目の審査より、実績がある2回目の方がカンタンそうだ」 もしそう思っていたら、落とし穴に引っかかるかもしれません。

2回目の審査には、特有の「最重要質問」が待ち構えています。

それが、「1回目にお貸しした資金(例:500万円)は、計画通りに使いましたか? そして、その結果、どれだけ売上(成果)に繋がりましたか?」という質問です。

この「成果報告」こそが、追加融資の審査の“キーポイントとなります。

 

なぜ「成果報告」がこれほど重要なのか?

こういう時は金融機関の担当者の立場になって考えてみると分かりやすいと思います。

「以前、『未来』に期待して500万円を投資(融資)しました。その500万円はどうなりましたか?」 これを相手に聞きたくなりませんか?

この質問に対して、

  • 「ええっと…何に使ったかな…色々運転資金で消えちゃいました」

  • 「計画通りには使ったんですが、売上には思ったより繋がりませんでした…」

  • 「(決算書が赤字で)成果ですか? いや、お恥ずかしい限りで…」

上記のように、曖昧な回答や、成果が出ていない事実だけを伝えてしまったら、担当者(仮に自分だったら)はどう思うでしょうか?

「この人にまたお金を貸しても、同じように成果が出せずに終わるかも...」 「計画性がなく、資金管理ができない人なのかも...」

実際は全く違うにしても、このように判断されたら追加融資は絶望的になってしまいます。

 

 

審査を突破する「成果報告」の具体的な準備方法

では、担当者を納得させ、「この人になら追加で貸しても大丈夫だ」と思わせる「成果報告」とは、どのように準備すればよいのでしょうか。

ステップ1:1回目の「事業計画書」と「決算書」を比較する

まずは、1回目の創業融資の際に提出した「事業計画書(または創業計画書)」を引っ張り出してきてください。

そして、今回提出する「1期目の決算書(または試算表)」と、徹底的に比較します。

  • 売上:計画では月商100万だったが、実績は月商80万だった。(マイナス20万の未達)

  • 経費(仕入):計画では原価率30%だったが、実績は40%だった。(10%の悪化)

  • 経費(広告費):計画では月10万だったが、実績は月5万しか使えなかった。

このように、「計画(Plan)」と「実績(Do)」の「差異(ギャップ)」を、すべて洗い出します。

ステップ2:「差異(ギャップ)」の理由を分析する

次に、洗い出した「差異(ギャップ)」について、「なぜ、そうなったのか?」という理由を、徹底的に分析(Check)します。

  • (例)売上が未達だった理由

    • 「計画では客単価2,000円を見込んでいたが、競合対策で値下げをしたため、実績は1,500円になったから」

    • 「SNS集客に力を入れる計画だったが、人手不足で実行できず、新規客が伸び悩んだから」

  • (例)原価率が悪化した理由

    • 「円安の影響で、仕入単価が計画時の想定より10%上がってしまったから」

ステップ3:「次の行動(改善策)」を明確にする

最後に、その分析結果を踏まえ、「だから、追加融資(2回目)を受けて、次はこう改善します(Action)」という具体的な行動計画に落とし込みます。

  • (例)売上未達の改善策

    • 客単価1,500円でも利益が出る体制は確立できた。次の課題は『新規客の集客』だと明確になった。
      そこで、追加融資〇〇万円を広告宣伝費(Web広告)に投下し、計画通りの客数を達成する。

  • (例)原価率悪化の改善策

    • 円安の影響は避けられないため、複数の仕入先と交渉し、原価を2%改善できる見込みがついた。
      また、新メニュー開発で客単価を1,700円に引き上げる。

 

「PDCA」こそが最強の成果報告

この「ステップ1〜3」の流れこそが、経営の基本であるPDCAサイクル(Plan→Do→Check→Action)です。

金融機関の担当者が最も評価するのは、「計画通りにいきました!」といった報告ではありません。

「計画通りにいかなかった部分(PとDの差異)を、このように分析(C)し、次はこう改善します(A)。そのために追加融資が必要です」 と、ロジカルに説明できる経営姿勢です。

これこそが、「この経営者は信頼できる」「この人にお金を貸せば、前回よりも良い成果を出してくれる」という、追加融資の強力な根拠となります。

 

【補足解説】「結局、2回目も『未来』に融資するのでは?」という疑問について

ここで、鋭い方はこう思ったかもしれません。

  • 「『改善します(Action)』って、結局はまた『未来の計画』じゃないか。それなら、創業融資(1回目)と同じく、未来の可能性に融資してもらっているのと同じでは?」

その通りです。融資である以上、最終的に「未来の返済能力(=未来の事業がうまくいくこと)」に対してお金を貸すという本質は、1回目も2回目も全く同じです。

 

では、何が決定的に違うのか。それは「未来」を裏付ける「証拠(エビデンス)の質」が全く異なるのです。

  • 1回目(創業時)の「未来」:
    「前職の経験」や「市場調査データ」を根拠にしていました。
    これは、金融機関にとって「この人なら、この計画を実行できるかもしれない」という『仮説(未来の可能性)』への融資でした。

  • 2回目(追加融資)の「未来」:
    この1年間、実際に経営してきた『実績(Do)』と、計画通りにいかなかった原因を突き詰めた『分析力(Check)』が根拠となります。
    これは、この実績と分析力がある人なら次に語る『改善策(Act=未来)』も、単なる予想ではなく、実行できる可能性が極めて高いという『実証データ』への融資です。

 

PDCAの「A(改善策)」を語ることは、新しい夢を語る事ではありません。

「私は、D(実績)とC(分析)という強力な根拠を持って、このA(未来)を語っています」 という「経営者としての成長」と「事業の解像度の高さ」を証明すること。

これこそが、1回目の審査との最大の違いです。

 

 

「返済実績」という、もう一つの重要な“実績”

追加融資の審査で、「決算書(事業の実績)」と並んで(あるいはそれ以上に)重要視されるのが、「1回目の融資の返済実績」です。

  • 毎月、約束の期日に、1日も遅れることなく返済を続けてきたか。(最重要)

これは、「経営者」としての評価であると同時に、信用度を測る最も分かりやすいバロメーターです。

どれだけ決算書が黒字でも、過去に数回の「うっかり延滞」があるだけで、審査担当者の心証は一気に悪化します。

もし仮に返済履行が遅延していた場合、「事業は順調かもしれないが、お金の管理に問題があるかも」 「返済に対する意識が低い

このように判断されると、追加融資のハードルは格段に上がってしまいます。

「約束通りに返す」という行動こそが、次の信頼(融資)に繋がる最強の“実績”となります。

 

 

まとめ

今回は、追加融資(2回目)の審査が、1回目(創業時)と「何が違うのか」について、その最重要ポイントを解説しました。

  • 1回目の審査は「未来(計画)」、2回目の審査は「過去(実績)」が土台となる。

  • 2回目の審査で最も重要なのは、「1回目の融資の成果報告」である。

  • 成果報告とは、「計画」と「実績」の差異を分析し(PDCA)、「次の改善策」を具体的に示すこと。

  • 「計画通りにいったか」ではなく、「計画通りにいかなかった原因をどう分析しているか」が問われる。

  • 「決算書」という事業実績と、「延滞なき返済」という信用実績の両方が、審査の車輪となる。

1回目の審査とは全く異なる準備が必要であることを、ご理解いただけたかと思います。

 

「自分の決算書で、どうやって成果報告をまとめればいいか分からない…」 「計画と実績の差異を分析しろと言われても、難しくて…」

そんな時は、私たち税理士にご相談ください。

「1期目の実績」を客観的に分析し、金融機関が納得する「次の行動(Action)」を盛り込んだ事業計画書の作成を、強力にサポートします。

起業スタートビジョンラボでは、創業したての方向けに、日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。

 
 

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