【資金繰り表の作り方 第4回】面談で差がつく資料の説明術
面談時の資料説明方法と融資後の経営活用術を税理士が伝授
こんにちは!名古屋起業スタートビジョンラボです。
全4回にわたってお届けしてきた「日本政策金融公庫のための資金繰り表の作り方」シリーズも、いよいよ最終回です。
第3回までで、過去の実績から未来の予測までが入力された「資金繰り表」が、ついに完成したことと思います。
本当にお疲れ様でした。
しかし、「これで全部終わりだ!」と安心するのはまだ早いかもしれません。
「苦労して完成させたけど、この数字の根拠を面談でうまく説明できるだろうか?」
「融資審査のためだけに作ったけど、この資料、融資が終わったらどうすればいいの?」
こんな不安や疑問が新たに生まれていませんか?
この記事では、完成した資金繰り表を「融資審査の面談でどう説明するか」という突破術と、「融資実行後にどう経営に活かすか」という持続的な活用法を徹底解説します。
資金繰り表を「最強の武器」に変えたいあなたは、ぜひ最後までじっくりお読みください!
第一回目のコラムはこちらをクリック:【資金繰り表の作り方 第1回】融資審査の鍵となる準備
第二回目のコラムはこちらをクリック:【資金繰り表の作り方 第2回】エクセル記入例つき入力解説
第三回目のコラムはこちらをクリック:【資金繰り表の作り方 第3回】「未来予測」の立て方
資金繰り表は「作成して終わり」ではない!面談と経営活用の重要性
苦労して作成した資金繰り表は、あなたの事業にとって「2つの役割」を持つ重要な資料となります。
役割1:融資面談で「返済能力」を証明する「プレゼン資料」
一つ目の役割は、日本政策金融公庫の融資面談における「プレゼンテーション資料」です。
面談担当者は、あなたが作成した資金繰り表の数字を見ながら、「なぜ、この売上予測が達成できるのか?」「この経費見積もりで本当に足りるのか?」を厳しく質問してきます。
この質問に対し、資料に基づいて自信を持って回答できるかが、審査通過の鍵を握ります。
役割2:融資実行後の「経営の羅針盤」
二つ目の役割は、融資実行後の「経営の羅針盤」です。
資金繰り表は、審査に通るためだけの一時的な書類ではありません。
これは、あなたが立てた「未来の経営計画図」です。 実際に経営を始めると、計画通りにいかないことが必ず出てきます。
その際に、この資金繰り表(計画)と実績を比較(予実管理)することで、「今、経営が順調なのか、問題があるのか」をいち早く察知し、対策を打つための最強のツールとなるのです。
日本政策金融公庫の融資面談!資金繰り表を使った説明のポイント
面談では、担当者は「資金繰り表(未来予測)」と「創業計画書(事業計画書)」の2つを見ながら質問してきます。
特に見られる説明のポイントを押さえておきましょう。
ポイント1:「売上予測の根拠」を自分の言葉で説明できるか
面談で最も深く質問されるのが「売上予測」です。
「なぜ、開業3ヶ月目から売上が100万円になるのですか?」 この質問に対し、第3回で準備した「計算式」と「根拠」を自分の言葉で説明することが重要です。
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NGな回答:
- 「なんとなく、これくらいは行くと思いまして…」「税理士さんに作ってもらったので…」
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OKな回答:
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「はい。売上予測100万円の根拠は、客単価1,000円、平日客数30人、休日客数40人…という計算に基づいています。」
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「客単価1,000円の根拠は、競合3社の平均単価が950円であることと、当店独自の〇〇という付加価値を上乗せした価格設定です。」
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「客数の根拠は、店舗前の通行量調査の結果と、近隣エリアの市場データを基に算出しました。」
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このように、資金繰り表の数字と、創業計画書に書いた分析内容を連動させて説明することが、信頼を得るためのポイントです。
ポイント2:「資金使途」と「融資希望額の妥当性」を説明できるか
次に、「なぜ、その金額の融資が必要なのか?」を資金繰り表で説明します。
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説明例:
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「資金繰り表の8ヶ月目の欄をご覧ください。計画上、開業4ヶ月目に、仕入の支払いが先行するため、一時的に月末残高がマイナス50万円まで落ち込みます。」
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この赤字補填と、不測の事態に備えた手元資金(運転資金)として、合計〇〇万円の融資が必要です。」
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このように、「資金繰り表のこの部分(月末残高が最も少なくなる箇所)」を指し示し、融資希望額の妥当性をロジカルに説明することができれば、担当者の納得度は飛躍的に高まります。
ポイント3:「最悪の事態(売上未達)」を想定しているか
担当者は、計画が順調な時だけでなく、「もし計画通りに売上が立たなかった場合」のリスクも見ています。
「もし、売上が計画の80%だった場合、資金繰りはどうなりますか?」 こんな質問が来るかもしれません。
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説明例:
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「その場合、まずは広告宣宣伝費や役員報酬を削減し、支出を抑えます。」
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「また、売上が80%で推移した場合でも、今回の融資があれば、資金ショートせずに6ヶ月間は事業を継続できます。」
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「その間に、集客対策AとBを実行します。」
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このように、リスクを認識した上で、具体的な対応策(支出の削減策)まで回答できると、「この経営者はリスク管理もしっかりできている」と高い評価につながります。
融資実行後が本番!「予実管理」で会社を強くする経営活用術
無事に日本政策金融公庫の融資審査を通過し、資金が振り込まれたら、いよいよ事業のスタート(または本格化)です。
作成した資金繰り表は、ここで捨てずに「経営の羅針盤」として活用します。
「予実管理(よじつかんり)」とは何か?
予実管理とは、「予定(計画)」と「実績」を比較・管理することです。
あなたが作成した資金繰り表の「計画」欄と、実際のお金の動きである「実績」(預金通帳や会計ソフトのデータ)を、毎月見比べる作業を指します。
予実管理の具体的なステップ
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月末に「実績」を締める: 第2回で行った作業(過去の実績入力)を、毎月繰り返します。その月の実際の入出金をすべて転記し、月末残高を確定させます。
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「計画」と「実績」の差額(ズレ)を確認する
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(例)売上計画100万円に対し、実績が80万円だった。(マイナス20万円のズレ) (例)経費計画 50万円に対し、実績が 60万円だった。(マイナス10万円のズレ)
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「なぜズレたのか?」原因を分析する
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なぜ売上が20万円足りなかったのか?(客数が計画より少なかった?客単価が低かった?)
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なぜ経費が10万円も多かったのか?(想定外の修繕費が発生した?水道光熱費が高騰した?)
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「次の対策(アクション)」を決める
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来月は客数を増やすために、SNS広告を追加で出そう。
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経費を抑えるために、電力会社を見直そう。
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資金繰り表を活用する経営上のメリット
この予実管理を繰り返すことで、経営者には計り知れないメリットがあります。
1. 資金ショートのリスクを「早期発見」できる
予実管理の最大のメリットは、「資金ショートの危険性」を数ヶ月先んじて察知できることです。
「このまま売上未達が続くと、3ヶ月後に残高がマイナスになるぞ…」 この「3ヶ月前」に危険信号に気づくことができれば、「追加融資を申し込む」「経費を大幅に削減する」
といった手を打つ時間が生まれます。これが倒産を防ぐ上で最も重要です。
2. 経営判断の「精度」が上がる
「今月は計画より利益が出たから、新しい機材を買おう」 「売上は順調だが、仕入率(原価率)が計画より5%も悪い。仕入先を見直そう」
このように、どんぶり勘定ではなく、資金繰り表という「数字(事実)」に基づいて、次の経営判断(投資やコスト削減)ができるようになります。
これが経営分析の第一歩です。
3. 金融機関からの「追加融資」が受けやすくなる
もし将来、事業拡大のために日本政策金融公庫や銀行に追加融資を申し込む際、毎月「予実管理」を行っている実績があれば、どうなるでしょうか。
金融機関:「この経営者は、計画と実績をしっかり管理し、ズレた原因を分析して、常に対策を打っている」
金融機関からの信頼は絶大なものとなり、追加融資の審査が非常にスムーズに進む可能性が高まります。
資金繰り表の作成・活用が難しいと感じたら…税理士の出番です
全4回にわたり、資金繰り表の作り方から活用法までを解説してきました。
しかし、中には「理屈は分かったが、毎月一人でこれを続ける自信がない」「日々の業務に追われて、予実管理どころではない」と感じた方も多いかもしれません。
経営者が本業に集中し、その傍らで「お金の流れ」を専門家がチェックし、危険信号を知らせる。それが税理士の重要な役割の一つです。
私たちのような創業支援や融資サポートに強い税理士事務所は、単に融資審査を通すためだけの資料作り(スポット契約)だけでなく、融資実行後も「顧問税理士」として、この「予実管理」を経営者と二人三脚で行っていくサポートを得意としています。
作成した資金繰り表が「絵に描いた餅」にならないよう、私たち専門家がチェックし、「社長、計画より経費が〇円多いですね。原因を探りましょう」「このペースなら、半年後に次の投資ができそうですね」といった具体的なアドバイスを行います。
一人で数字と格闘するのが不安な方は、ぜひ税理士への無料相談なども含めて、専門家の活用をご検討ください。
まとめ(全4回シリーズの総括)
全4回にわたる「日本政策金融公庫のための資金繰り表の作り方」シリーズ、最後までお読みいただきありがとうございました。
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第1回(準備):資金繰り表の重要性を理解し、「通帳」「試算表」「テンプレート」を準備しました。
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第2回(過去実績):通帳を基に「過去」のお金の流れを正確に入力し、土台を作りました。
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第3回(未来予測):「根拠のある計算式」で売上と経費を予測し、「月末残高がマイナスにならない」未来計画を立てました。
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第4回(活用):完成した資料を面談で自信を持って説明する方法と、融資後に「予実管理」で経営に活かす方法を学びました。
資金繰り表は、融資審査を突破するためだけでなく、あなたの会社を「資金ショート」から守り、成長軌道に乗せるための「最強の経営の羅針盤」です。
ぜひこの知識を活かし、安定した経営の第一歩を踏み出してください。
名古屋起業スタートビジョンラボでは、創業したての方向けに、日本政策金融公庫をはじめとした創業融資はもちろんのこと、幅広くトータルサポートを承っており、融資についてのご相談からご提案までさせていただいております。
気になる方は是非、お気軽にご連絡下さい。

